傘雑話集

道路交通法2025と自転車と傘と青切符の話

道路交通法2025と自転車と傘と青切符の話

道路交通法が自転車と傘に厳しくなってから相当な時間が経ちました。そして、2026年の4月から16歳以上の人の自転車使用時の傘差し運転は、青切符が切られ5,000円の反則金が取られる事になりました。

この話を聞いて自転車を運転しながら傘を差しただけで5,000円も取られるのかと驚かれる方もいるようですが、既に現状この行為は五万円以下の罰金が科されます。
ただ、罰金を徴収するのに手間がかかりすぎるので、金額は下げるけどバンバン検挙しますよというのが来年から始まる青切符化というわけなのです。

ですから、来年までは大丈夫という事ではないという事をご理解いただいて、傘の安全な使用、正しい使用をお願いしたく思います。

また、先ほども触れましたが今回の青切符の対象者は、電動キックボード使用可能年齢制限と同様に16歳以上です。それ以外の方は従来通りの道路交通法で対応となりますので、こちらも勘違いされないようにされると良いですね。

自転車に傘を取り付ける装置

そもそもの自転車の構造から考えていくと、自転車に傘を取り付けるのはまずいという事が分かるはずではあると思うのですが、未だに危険な道具を自転車に取り付ける人がいるとのことなので一応書いておこうと思います。

ちなみにこの行為は道路交通法の細かい規定に引っかかりますが、自転車を運転する際の「危険行為」としてよりも自転車を所有する人の「違法改造」としての側面が強いようです。ですので、この行為を警察にとがめられると、青切符などではなく違法改造による五万円以下の罰金という思い罰金が科されます。

なお、青切符化しないのであれば、実質意味なしと思う方もいるかもしれませんが、傘差し運転が青切符化したことで、こちらの行為は厳罰化する可能性も十分にあると考えられます。大きな事故の際に重い罰を適用されかねませんので、きちんと法律を守るべきかと思います。

で、どうして傘の自転車への固定が違法改造とされるのかですが、それについて解説していきます。
さて、そもそも自転車が倒れないのは、進んでいる自転車が倒れそうになると前輪の軸が内側に回転し、車輪が曲がることで倒れる方向から復帰する方向に力が移動するから(重心が安定するから)です。そして、人間が両手でハンドルを握ってある程度のスピードで漕いでいるときに最も安定するように設計されています。ですから、漕ぐのをやめると倒れますし、人間が載っていない状態で自転車だけ加速してもある程度で倒れてしまいます。
このようなバランスが重要な乗り物に対し、風の影響を受けるパーツを後から取り付けたらどうなるのかは自明です。倒れやすくなるのに決まっているわけです。
実際、海外で見かけられるような、はじめから雨避けを付けた、そのバランスで最適である自転車は後付けの自転車よりも倒れにくいのですが、それを見て自転車に傘を取り付ける装置が安全であるという話にはなりません。
要するに自転車が正しく走行することを妨げる改造であるという事になるわけです。ですので、皆様にはくれぐれもこのような装置を付けて傘を使わないようにお願いしたいと思います。
ただ、残念なことに雨の日にレインコートだけではなく傘をさして自転車に乗りたいという話が出てくるのは結構な頻度であります。現状の違法改造が危険だからというのは確かではありますが、未来永劫そうなわけではないかもしれません。
というのも、先ほど記載させていただきましたように、初めから傘を付けたバランスで自転車を開発していれば、もしかしたら安全度の高い装置が開発される可能性も有るかもしれません。残念ながら当方は自転車制作の知識は全くありませんので、あくまでも外野から騒ぐだけではありますが、自転車メーカーの方で何か作られる可能性はあるのかなと思います。
ただ、その場合は既製品の傘を取り付けるのではない、専用の雨よけカウル付きの自転車という事になりそうではありますよね。実際に地域によっては30cm以上出っ張らなければ改造しても違法とはしない等、色々あるようです。このことについては地域ごとに違うようですので割愛しますが、もしどうしてもという方がいらっしゃるのであれば、お住まいの地域の警察に確認してもらうしかありません。
雨の日に合羽ではどうしてもいやだという方は、ぜひ新しい方法論を考え出していただけたらなと思います。

一番怖い自転車と傘の事故

実の所、「じゃあ傘はたたんで、腕にひっかけて運転すれば道路交通法違反じゃないんだな」という行為が一番怖い行為であったりします。風を受けないのでバランスも崩しませんし、片手運転ではないで危険ではないように見えますよね。

でもそうではありません。自転車と傘にまつわる事故として一番まずいのが、自転車の前輪スポークに傘が巻き込まれ転倒する事故だからです。この事故は手に引っ掛けた傘、もしくは自転車のハンドルに折りたたんだ長傘をひっかけて運転した際に、ゆらゆら揺れた傘が前輪に刺さり、前輪が急ブレーキ状態になることで起こるからです。

全速力で走っていた自転車が予期しないタイミングで急ブレーキをかけるのですから、運転者は当然投げ出されますし、下手をすれば車道で後続車に轢かれる大惨事となりかねません。ですので、自転車に乗る時にはそもそも傘を完全に荷台などへ固定して運用する必要があるのです。