傘を取り巻く環境

🏭 中国の傘産業:世界を支える巨大クラスターの全貌

世界の傘工場

中国は世界最大の傘生産国であり、年間約15億本を製造し、そのうち約9億本が輸出されています。
世界の傘の約65〜70%が中国製であり、その中心は福建省と浙江省に集中しています。
日本で売られている傘の多くも中国でつくられているうえに、日本で組み立てられた傘についても部材のほとんどは中国でつくられたものを使っています。

🌟 主な傘生産地と特徴

地域特徴主力製品
晋江市 東石鎮福建省世界最大の傘生産地。年間4.6億本、130億元規模。雨傘、日傘、パティオパラソル
南安市 石山鎮福建省OEM生産に強み。中小企業が多く集積。広告傘、イベント傘、業務用傘
上虞区 松夏鎮浙江省「チャイナ・アンブレラ・シティ」。年間10億本以上。UVカット傘、折りたたみ傘、広告傘
蕭山区 南陽鎮浙江省高品質・高機能傘の製造が盛ん。自動開閉傘、ファッション傘
建徳市 三都鎮浙江省傘部品の供給拠点。傘骨、ハンドルなどの部品
深セン市 龍崗区広東省技術力とデザイン性に優れたOEM・ODM拠点。LED傘、逆さ傘、自動開閉傘

🧵 クラスター構造とサプライチェーン


• 松夏鎮(上虞)と東石鎮(晋江)が中国傘産業の双軸であり、全国生産量の約60〜70%を占める
• 垂直統合型サプライチェーン:生地(浙江省柯橋市場)→部品(建徳・南陽)→組立(松夏・東石)
• 企業数:上虞地区だけで約500社が集積
• 輸出先:西欧、東南アジア、日本など

🧠 技術革新と販売戦略


• 製品の多様化:UVカット、電動折りたたみ、デザイン傘など
• 設計合理化:部品数の削減による生産効率向上(例:晋江)
• 販売チャネル:Eコマースやライブ配信による販路拡大(例:上虞)

🎨 伝統的工芸傘の地域

地域特徴製品
湖南省 湘潭市 石鼓鎮600年以上の歴史を持つ油紙傘の産地。観光・文化産業と連携。油紙傘(工芸品)

🧭 まとめ


中国の傘産業は、福建省のデザイン・ブランド志向と、浙江省の量産・コスト競争力という二極構造で世界市場を支えています。
特に松夏鎮と東石鎮は、世界の傘製造の中心地として機能しており、今後も技術革新とグローバル展開が期待されています。

今度、日本国内で傘を買うときにどこで製造された傘かチェックしてみてはいかがでしょうか?
ちなみにルールとして原産国は、製品の機能や価値を決定づける最も重要な工程が行われた国となります。
そして傘の場合、その工程は 「縫製・組み立て」となります。
もし部材は中国で製造されていても「縫製・組み立て」を日本国内でされていれば「メイド・イン・ジャパン」となります。
そのあたりも含めてチェックしてみてね。