Mabu ストレングスミニR
傘業界25年以上の専門家がレビュアーとなり話題の折りたたみ傘を独自の視点で分析していきます。
今回は、MabuのストレングスミニRを取り上げます。
Mabu ストレングスミニR
傘業界25年以上の専門家がレビュアーとなり話題の折りたたみ傘を独自の視点で分析していきます。
今回は、MabuのストレングスミニRを取り上げます。
以下の8項目について評価いたします。
評価方法は、項目ごとに基準となる点数があり、評価対象の傘の仕様によって評価(加点・減点)しています。
それぞれの項目の内容は相関しているため評価が反比例することがあります(携帯時のサイズが小さいと使用時のサイズも小さくなる、携帯性が高くなると壊れやすくなる、サイズが大きい方が価格が安くなる、など)
項目1 軽さ | 軽い方が高評価 |
項目2 携帯時のサイズ | 長さと太さで判断、長さは短い方、太さは細い方が高評価 |
項目3 使用時のサイズ | 原則大きい方が高評価だが一定以上の大きさを超えると減点。中棒の太さが太い方が取り回しの良さから高評価。親骨の数が多いと生地面積が広くなるため高評価 |
項目4 たたみやすさ | 親骨の数が多い、形状記憶、高撥水性、閉じたときの親骨のまとまりがよいと高評価、ホック式、生地の柔らかさは減点 |
項目5 生地性能 | 生地の種類と加工技術の組み合わせによって判断 |
項目6 価格 | 安い方が高評価 |
項目7 耐久性能 | 使用頻度と壊れやすさの視点から骨の素材・構造・構成、生地の縫製によって判断 |
項目8 耐風性能 | 耐風性の視点で骨の素材・構造・構成、生地の縫製によって判断。どんなに対策をしても傘は強風で壊れるものであるという考えが評価者の視点なので、強風に関して評価したものではない事を明記させていただく |
26cm
B5サイズのクラッチバッグには入りません
A4サイズのバッグの横倒しで入りますが太いのでバッグ内部では邪魔かもしれません
バックパックのドリンクホルダーにちょうど良く収まります
たたんだときの太さ5.6cm
親骨が60cmサイズであるため、長さはそこそこある上に開閉をアシストするために親骨に仕込まれたバネがあるので太さも太いです。
手元を短めに設計することで全長を26cmに抑える工夫がされてます。
常時携帯する傘というよりも天気によって使う傘という感じになるでしょう。
親骨サイズ60cmと生地の内接円半径約53.5cm
使用時のサイズは折りたたみ傘としてはやや大きめなサイズであり、骨の質も良く中棒が順逆反対のスライドをすることを除けば、良い感触です。
手元付近の中棒の径が8.5Φですので中棒を持って運用することはやや難しいですが手元も小さいので、握力の十分ではない人が手元だけを持ってこの傘を使用するのも難しいです。
手元の接合部部分がネジ式であることから手元をもっと大きくする事でかなり使用時の不安定さが解消されるはずですので今後の進化に期待したいです。
ちなみに親骨サイズが60cmですが7本骨ですので、実際にこの傘をさしてみると少しだけ物足りなく感じます。
生地は標準的なものが用いられていますので生地の質が原因でたたみにくいという事はありません。
親骨がばねの力で折りたたまれるという機構を採用しており、親骨オールグラスの7本骨のたたみにくさを解消しているものの、最終的に傘をきれいに小さくまとめる時にはかえってこの機能が邪魔な感じがあります。
中棒の3段棒を縮めた時にロックがかかりにくいという事もきれいにたたみたい人にとってはマイナスだと感じました。
雑にたたむ分にはとても楽でたたみ易いと言えますし、きれいにたたむのには苦労するのでたたみにくいとも言えます。使用者を選ぶ傘という事でしょう。
中棒や手元回りなど接合部分はしっかりとしていますので、一見すると壊れやすい要素は少ないように感じられます。
ただし、高い柔剛性の裏返しとして繰り返しの使用における壊れにくさには疑問が残ります。
特に骨自体のギミックが多い親骨であるために繰り返しの使用に対しては若干脆弱だと推測しています。
例を挙げるとこの個体に関しては購入時点で写真にあるように、引き線自体が歪んでしまっていますが、構造的に考えて他の個体も多少の差はあっても同じような歪が出ている可能性が高いです。
強度を重視した弊害が歪という形になって出ているため、使用回数が増すとここが故障の原因となると考えられます。
多少たわんだとしても強化プラスチック部分は復元しやすい
グラス骨を使用し、一般的な傘にあるようなアルミ部分を極力減らすことで親骨に柔性を確保し、風の影響を最小限に減らす試みが採用されています。
中棒も一般的な10Φ3段スライド骨ではなく、11Φ八角変形の3段逆スライド骨を使用していて剛性を高くしています。
以上の事から台風時などに発生するとんでもない風以外で破断する可能性はかなり低いと考えられます。
総合評価としては、「風が強い日にどうしても折りたたみ傘を使いたい人」向けの傘としてはとても良い折りたたみ傘だという事です。
長傘の強度を折りたたみ傘で再現したいと考えましたが、重量や目的とする強度と折りたたみ傘として出来る事のバランスを取った結果、このような傘になったのではないでしょうか。
風に対して強めの傘を比較的低コストで実現できている点は評価できますので、あとはもうすこし軽かったら、もう少したたんだ時のサイズが小さかったらもっと良かったかなとも感じました。反対に、たたんだ時のサイズをもう少し大きくし、しかも親骨も8本骨を採用していたならば、とても強固な素晴らしい傘という評価だったと同時に、携帯性が低すぎるとその点は酷評だったとも思われます。
以上のように考えてみても、この傘をいろいろ研究しながら感じたのは、低価格素材を使用した丈夫な折りたたみ傘を設計するのは難しい事なのだなという事でした。
ご注意
傘全集のレビューは実際に商品を購入してレビュアーが評価しています。評価結果については購入した商品の個体特有の要因があるかもしれませんので、商品全体を示していない場合がありますことをご理解ください