傘と文化との関係

傘を使った勉強をしよう! 物理・数学編

身近な傘を使ってお勉強

色々な問題を解くときに身近なモノの方がイメージがわきやすく解答しやすい、なんてことはありませんか?
身近なモノの代表である「 傘 」と関連のある問題として数学と物理を以下に6つ、作成しましたので、ぜひ解いてみてください。

物理1:傘生地を張るときの張力について
物理2:傘の水滴が落ちる力について
物理3:日傘における日光の反射と吸収のエネルギーについて

数学1:傘生地の面積の求め方
数学2:傘を持ち歩くときと持ち歩かないときの期待コストについて
数学3:傘の配置問題

物理の時間 問題1 傘生地を張るときの張力について


ある傘の骨の長さは 60 cm で、傘の生地はナイロン製です。
ナイロンの弾性係数(ヤング率)は 3.5 GPa です。
傘の生地は各骨に均等に張られており、各骨の間隔は 45度です。
傘の生地が 1 cm 伸びたときの張力を求めなさい。

条件
傘の骨の長さ: 60 cm
ナイロンの弾性係数(ヤング率): 3.5 GPa
各骨の間隔: 45度
生地の伸び: 1 cm
解答の手順
ヤング率の単位変換: 3.5 GPa = 3.5 × 10⁹ N/m²
生地の断面積の仮定: 生地の厚さ t と幅の定義が必要。
各骨の間隔は 45度なので、隣り合う骨の間の 生地の幅は円弧長で近似 できます。
• 半径 R=60 cm = 0.6 m
• 円弧長 w=Rθ=0.6×π/4
w≈0.471 m
• したがって、生地の断面積 A=t×w。

フックの法則の適用: 張力 F = ヤング率 × 断面積 × 伸び / 元の長さ
F=E×A×ΔL/L
ここで、
• 元の長さ L=60 cm = 0.6m
• 伸びΔL=1 cm = 0.01m
• 断面積 A=t×0.471m²
したがって、
F=(3.5×10⁹)×(t×0.471)×0.01/0.6
4. 数値の整理
F=(3.5×10⁹)×(t×0.471)×0.01/0.6
F=(3.5×10⁹)×t×0.471×1/60
F=(3.5×10⁹)×t×7.85×10-3
F≈(2.75×107)×t
よって、張力は 生地の厚さ t に依存 し、
F≈2.75×10⁷×t(N)
となります。

この問題を解くことで、張力の計算方法や物理の基本法則を理解する助けになると思います。

物理の時間 問題2 傘の水滴が落ちる力について


ある傘の表面に直径 2 mm の水滴が形成されました。
水の表面張力は 0.072 N/m です。
この水滴が傘の表面から滑り落ちるためには、どれだけの重力が必要かを求めなさい。

条件
水滴の直径: 2 mm
水の表面張力: 0.072 N/m
水の密度: 1000 kg/m³
重力加速度: 9.8 m/s²
解答の手順
水滴の体積の計算: 水滴を球と仮定し、体積 V を求めます。
V=4πr3/3
ここで、直径が2mmなので半径は
r=2/2mm=1mm=1×10⁻³m
V=4π(1×10⁻³)³/3
V=4π×10⁻⁹/3
V≈4.19×10⁻⁹㎥
水滴の質量の計算: 水の密度を用いて質量 m を求めます。
m=密度×V
m=1000×4.19×10⁻⁹
m≈4.19×10⁻⁶ kg
水滴に働く重力の計算: 重力 F を求めます。
F=m×g
F重力=(4.19×10⁻⁶)×9.8
F重力≈4.11×10⁻⁵N
表面張力と重力のバランス: 表面張力による力は、水滴の接触部分の周囲の長さ(円周)に表面張力を掛けたもの
F表面張力=表面張力×接触線の長
水滴の接触線の長さは 直径に π を掛けたもの:
接触線の長さ=πd=π×2×10⁻³
=6.28×10-3m
F表面張力= 0.072×6.28×10⁻³
F表面張力≈4.52×10⁻⁴ N
重力と表面張力の比較:
水滴が滑り落ちる条件:
F重力>F表面張力
4.11×10⁻⁵<4.52×10⁻⁴
設問の条件では表面張力の方が大きいため、水滴は滑り落ちないことがわかります。
水滴が落ちるには重力が表面張力より大きくなります。

この問題を解くことで、表面張力と重力の関係を理解する助けになると思います。

物理の時間 問題3 日傘における日光の反射と吸収のエネルギーについて


ある日傘の表面は、太陽光の 70% を反射し、30% を吸収します。
日傘の表面積は 1.5 平方メートルで、太陽光の照射強度は 1000 W/m² です。
次の質問に答えなさい。

1.日傘の表面に照射される総エネルギーを求めなさい。
2.日傘の表面で反射されるエネルギーを求めなさい。
3.日傘の表面で吸収されるエネルギーを求めなさい。

条件
•反射率: 70%
•吸収率: 30%
•日傘の表面積: 1.5 m²
•太陽光の照射強度: 1000 W/m²
解答の手順
1.総エネルギーの計算: 日傘の表面に照射される総エネルギーは、照射強度と表面積の積で求められます。
総エネルギー=照射強度×表面積
総エネルギー=1000W/㎡×1.5㎡
総エネルギー=1500W2.反射されるエネルギーの計算: 反射されるエネルギーは、総エネルギーに反射率を掛けたものです。
反射エネルギー=総エネルギー×反射率
反射エネルギー=1500W×0.7
反射エネルギー=1050W

3.吸収されるエネルギーの計算: 吸収されるエネルギーは、総エネルギーに吸収率を掛けたものです。
吸収エネルギー=総エネルギー×吸収率
吸収エネルギー=1500W×0.3
吸収エネルギー=450W

この問題を解くことで、エネルギーの反射と吸収の計算方法を理解する助けになると思います。

数学の時間 問題1 傘生地の面積の求め方


ある傘は 8 本の骨で支えられており、傘の生地は 8 つの等しい三角形のパネルに分割されています。
各パネルの底辺の長さは 50 cm で、傘の骨の長さは 60 cm です。
次の質問に答えなさい。

1.各パネルの面積を求めなさい。
2.傘全体の面積を求めなさい。
3.傘の生地を作るために必要な生地の総面積を求めなさい(縫い代を考慮して、各パネルの面積に 10% を追加する)。

解答の手順
1.各パネルの面積の計算: 各パネルは底辺 50 cm、高さ 60 cm の三角形です。 三角形の面積は、底辺 × 高さ ÷ 2 で求められます。
三角形の高さ h は、ピタゴラスの定理を使います。
• 骨の長さ(斜辺) = 60 cm
• 底辺の半分 = 50 cm ÷ 2 = 25 cm
• 高さ h は次の式で求められます。
h²=骨の長さ²−(底辺/2)²
h2 =60²-25²=3600 - 625=2975
h≈54.54 cm
面積=(50×54.54)/2=1363.5 ㎠

2.全体の面積の計算: 傘は 8 つのパネルで構成されているため、傘全体の面積は各パネルの面積の 8 倍です。
傘全体の面積=1363.5㎠×8=10908㎠

3.必要な生地の総面積の計算: 縫い代を考慮して、各パネルの面積に 10% を追加します。
各パネルの面積(縫い代込み)=1363.5㎠×1.1=1499.85㎠
傘全体の面積も同様に計算します。
必要な生地の総面積=1499.85㎠×8=11998.8㎠

この問題を解くことで、幾何学的な計算や実際の応用について理解する助けになると思います。

数学の時間 問題2 傘を持ち歩くときと持ち歩かないときの期待コストについて


ある都市では、雨が降る確率は 30% です。
傘を持ち歩くコストは 1 日あたり 100 円で、雨に濡れると 1 回あたり 500 円のコストがかかります。
次の質問に答えなさい。

1.傘を持ち歩かない場合、1 日あたりの期待コストを求めなさい。
2.傘を持ち歩く場合、1 日あたりの期待コストを求めなさい。
3.傘を持ち歩くべきかどうかを判断しなさい。

解答の手順
1.傘を持ち歩かない場合の期待コスト:
雨が降る確率: 30% = 0.3
雨が降らない確率: 70% = 0.7
雨に濡れるコスト: 500 円
期待コストは、各事象のコストにその確率を掛けたものの合計です。
期待コスト=(0.3×500)+(0.7×0)=150円

2.傘を持ち歩く場合の期待コスト:
傘を持ち歩くコスト: 100 円
雨が降る確率: 30% = 0.3
雨が降らない確率: 70% = 0.7
傘を持ち歩く場合の期待コストは、傘を持ち歩くコストそのものです。
期待コスト=100円

3.判断: 傘を持ち歩かない場合の期待コストは 150 円、傘を持ち歩く場合の期待コストは 100 円です。
したがって、傘を持ち歩く方がコストが低くなります。

この問題を解くことで、期待値の計算や意思決定の方法を理解する助けになると思います。

数学の時間 問題3 傘の配置問題

雨の日に、直径90cmの円形の傘を持った人々が広場に集まっています。
各人は他の人と傘が重ならないように立っています。
25m × 25mの正方形の広場には、最大何人の人が入ることができるでしょうか。

解答の手順
各人が占める面積を考えます。傘は直径90cmなので、半径は45cmです。
一人当たりの必要な面積は円の面積となります π×45² = 2025×π cm²
広場の面積を計算します。広場 = 25m×25m = 625 m² = 625×10000 = 6250000 cm²
広場に入れる最大人数は、広場の面積を一人当たりの面積で割ったものです。  人数 =6250000/(2025×π)≈ 982.9
人数は整数なので、最大982人が入れます。よって、広場には最大で982人が入ることができます。

まとめ

傘を題材とした数学と物理の問題を作ってみました。もっとこんないい問題があるよ!というご意見お待ちしています。