郡上義民顕彰碑
傘連判とは
皆さんは仲間とのお別れのときに、色紙に丸く名前とともに一言メッセージを添えた寄せ書きを書いたり、もらったりしたことはありますか?
寄せ書きのあの丸い形は傘の形に似ていないでしょうか?実は丸く署名することは「傘連判」と言って昔に行われていたものなんです。
では、その「傘連判」とはいったいどのようなものなのでしょうか、傘全集で調べてみました。
傘連判とは
傘連判状とは、室町時代から江戸時代にかけて、一揆などで用いられた円環状の署名形式です。多数の者が一致団結して約束を誓うとき,円を書き,そのまわりに放射状に署名して花押を書いたもので、その署名連判状が傘を開いたように見えるのでこの名があります。車連判、輪連判、廻り連判などともいわれていました。
傘連判状の起源については、中世の武家で、同盟や連盟関係にあった武士同士のどちらかが先に署名した場合、外観的に上下関係が生じてしまう恐れがあるため、立場は互いに同じで平等であるという配慮と意思表示から生じた連判状の形式であったとされています。また、江戸時代には、一揆結託した農民がこの形式をとっていました。全国各地で一気のときに記した傘連番の記録が残っています。
傘連番に関する論文・評論
https://www.jstage.jst.go.jp/article/shukulib/18/0/18_KJ00004198094/_pdf/-char/ja
近世における傘連判の機能について
従来からの首謀者隠し説、一味同心説と、著者による神罰代行説について論じています。
https://cir.nii.ac.jp/crid/1050001337899179648
傘連判状を採り入れたコミュニケーションプロトコル
平等性を示すため円形に記名する伝統的な集団署名技法「傘連判状」を基にし,実名と匿名の長所を併せ持つコミュニケーションプロトコルについて提案・実験
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jalha1951/2003/53/2003_53_210/_article/-char/ja/
(書評)百姓一揆とその作法
一気の共同責任体制、その特有署名形式である傘連判(車連判)は海外にも、朝鮮のサバル通分、イギリスのラウンドロビン(Round Robin)という似た形式があります。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jalha/66/0/66_244/_article/-char/ja
(書評)酒井紀美編『契約・誓約・盟約』
収載されている「中世社会と契約」において、傘連判等に見える「神」観念の検討を通して、中世の契約を支えた思想について考察している。
まとめ
日本だけでなく世界でも傘連判は行われていました。
このように円形に署名することで誰が首謀者(リーダー)か分からなくすることや、皆同じ立場であることを意味づけたりする意味があるといわれています。
また傘連判をすることで強い結束力が生まれ、一気のときに力強く領主に対抗することができたようです。
卒業や転校、転勤、退職のときだけでなく、もっといろいろな場面で傘連番や寄せ書きをやってみてはいかがでしょうか?皆の結びつきを強く感じることができると思います。