傘と文化との関係

宇宙と傘 / 宇宙空間とのコンタクト

宇宙空間とのコンタクト 傘状のパラボラアンテナが活躍?

皆さんは月や星座、宇宙に興味はありますか?
宇宙は常に頭の上にあり、大昔からいろいろなテーマの素となりました。
宇宙を知ることは地球を知ることでもあります。

宇宙とコンタクトをとる方法は、宇宙からの電波を受信して調べたり、宇宙探査機を送るなどがあります。
そこでカギになるのが、傘を開いたような形のパラボラアンテナです。
最近でもSF小説で「三体」がドラマ化もされ話題になりましたが、そこでも中国奥地の巨大なパラボラアンテナがある基地で異星人とコンタクトをとったことがその後の壮大なストーリーの始まりとなります。
今回はそんな宇宙と傘についてお伝えします。

地上のパラボラアンテナ


天文台などに大きなパラボラアンテナが設置されています。
天文台にある巨大なパラボラアンテナって、見たことがある人も多いかもしれません。
あの大きな円盤型のアンテナは、ただのテレビ用アンテナとは違い、宇宙の謎に迫るための重要なツールです。

1. パラボラアンテナって何?

パラボラアンテナは、正確には「電波望遠鏡」と呼ばれるものの一部です。
宇宙から届く「電波」をキャッチするためのアンテナで、形がパラボラ(放物線状)になっているため、効率的に微弱な電波を集めることができます。
これを使って、遠く離れた星や銀河、さらにはブラックホールなどから放たれる電波を捉えて、その性質を研究しています。

2. パラボラアンテナの歴史

電波を使った天文学、いわゆる「電波天文学」が発展し始めたのは20世紀の初め頃です。
1930年代、アメリカの技術者カール・ジャンスキーが宇宙からの電波を偶然キャッチしたことがきっかけで、電波天文学という新しい分野が生まれました。
その後、様々な国で巨大なパラボラアンテナが建設され、特に1960年代から天文台に設置されるようになりました。
この時期は宇宙探査が盛んになり、パラボラアンテナが新しい天体の発見や宇宙の理解に大きな役割を果たしました。

3. 天文台のパラボラアンテナの目的

では、パラボラアンテナは具体的に何をしているのでしょうか?主な目的は次の通りです。

宇宙からの電波観測

私たちの目には見えない「電波」をキャッチすることで、遠く離れた天体の情報を得ています。
例えば、恒星や銀河、パルサー(回転する中性子星)などからの電波を観測することで、その天体がどんな状態かを知ることができます。

宇宙の進化の解明

宇宙がどのようにして今の形になったのかを理解するために、ビッグバン後に放たれた電波(宇宙背景放射)を観測しています。

地球外生命の探査

一部のパラボラアンテナは、地球外知的生命体からの電波信号を探す「SETIプロジェクト(Search for Extra Terrestrial Intelligence)」にも使われています。
もしかしたら、いつか宇宙人からのメッセージがキャッチできるかも⁉

4. 有名なパラボラアンテナ施設

ここで、いくつか世界的に有名なパラボラアンテナ施設を紹介します。

アレシボ天文台(アメリカ、プエルトリコ)

直径305メートルの巨大なパラボラアンテナを持っていたアレシボ天文台は、電波天文学や惑星探査、さらには地球外知的生命の探査にも大きく貢献しました。
しかし、残念ながら2020年に施設が崩壊してしまいました。

グリーンバンク天文台(アメリカ)

世界最大級の可動式電波望遠鏡を持つこの天文台では、様々な天体からの電波を観測しています。
宇宙の進化や星の誕生、ブラックホールの研究に使われています。

野辺山宇宙電波観測所(日本)

日本にある野辺山宇宙電波観測所では、太陽や銀河、星間ガスなどの研究を行っています。
地元の星々だけでなく、遠く離れた銀河からの電波もキャッチできます。

5. パラボラアンテナの特徴

パラボラアンテナには、次のような特徴があります

高感度

宇宙から届く電波は非常に微弱ですが、パラボラ形状のアンテナがそれを効率的に集めて増幅します。

方向性が高い

パラボラアンテナは、特定の方向から来る電波をピンポイントでキャッチできるため、天体を精密に観測することができます。

大規模なものが多い

パラボラアンテナは非常に大きなものが多いです。
例えば、グリーンバンクのアンテナは直径100メートル以上もあります。この巨大さが、宇宙からの微弱な信号を捕らえるのに必要になります。

宇宙空間のパラボラアンテナ


宇宙空間には、傘状のパラボラアンテナが実際に使用されています。
特に、通信衛星や宇宙探査機に搭載されているアンテナとしてよく見られる形状です。
傘状のパラボラアンテナは、地上や宇宙空間での通信に使用される高性能なアンテナです。
パラボラ形状は、反射板を使って電波を一点に集中させるため、遠距離の信号を効率よく送受信できます。
この特性が、地球からの指令を受けたり、地球にデータを送ったりする宇宙探査機や通信衛星に非常に適しています。

有名な例として、NASAのボイジャー探査機や、火星探査機、さらに地球の静止軌道に配置されている多くの通信衛星がこのタイプのアンテナを使用しています。
これらのアンテナは折り畳み式で、打ち上げ後に宇宙で展開されることが多いです。
折り畳み式にすることで、ロケットのスペースを節約し、宇宙空間で最大限に展開できる設計になっています。

また、日本の宇宙機関であるJAXAが開発した探査機や衛星にも、傘のように展開するパラボラアンテナが搭載されています。
たとえば、月探査機「かぐや」や、小惑星探査機「はやぶさ2」などがそれに該当します。
このようなアンテナは、宇宙からのデータ通信や地球への情報伝達に不可欠な役割を果たしています。

6. 最後に


天文台のパラボラアンテナは、私たちが目では見ることのできない宇宙の姿を「電波」を使って映し出す重要な道具です。
その歴史は100年ほどとまだ新しいですが、私たちが宇宙を理解するために欠かせない技術となっています。
もし、星や宇宙に興味があるなら、これらのパラボラアンテナを使った電波天文学についてもっと調べてみると、宇宙の新たな一面を発見できるかもしれませんよ!
夜空の月や星座を見上げながら無限の彼方との交信に役立っている「傘」を想像してみてください。