ファッションの流行は、特定の時期や場所で多くの人々に受け入れられ、広範囲に波及する「開放的流行」として分類されます。
流行の展開過程は、潜在期、初発期、急騰期、停滞期、衰退期の五段階に分けられ、特にファッションにおいてはこの流行現象型が顕著です。
流行の特長としては、新しいスタイルや概念が社会集団の多数に受け入れられる過程で、社会心理的な強制力が働き、急激に既存のファッションに取って代わることが挙げられます。
また、流行商品のシンボリックな価値が重視され、時代の文化の象徴として機能することも特徴的です。
流行は計画的に生み出されることが多く、メディアやマーケティングの力によって形成されることが指摘されています。
これらの知見は、ファッションの流行を理解し、予測する上で重要な要素となります。
流行のタイプ
ファッションの流行とは、時代ごとに服装スタイルやメイク、ヘアスタイルが流行り廃りを繰り返す現象です。
流行過程の分類による3つの型を紹介します。
1.一般型
普及の初期段階では、新しいスタイルが急速に広まります。
このスタイルが一般的になりつつあるにも関わらず、人々がそれを捨てることは少なく、ある程度の普及水準が維持されます。
さらに、緩やかな普及が続く場合、そのスタイルが一般的なものとして確立される可能性もあります。
この「一般型」は、潜在的な需要が急速に高まり、停滞期に入るとそのトレンドが終息する特徴があります。
具体的な例としては、1960年代に日本で流行したTシャツがあります。
これは一時の流行に留まらず、現代においても広く愛用されています。
最近の事例では、スマートフォンや防寒機能を備えたウェア(ダウンジャケット)などが、流行から一般的なものになったと言えます。
2.衰退型
社会全体からみると、急激な普及に続いて急速な衰退が起こる様式。
典型的な流行で、発端から消滅までの期間は通常2~3ヶ月、長くて2~3年と言われます。
「衰退型」の流行は、潜在的な需要が急速に高まり、急騰期の間が非常に短く、衰退期に入ると急速な下降が始まり、最終的には完全に消えてしまうことがあります。
具体的な例としては、1980年代後半に広まったボディーコンシャスファッション(ボディコン)が挙げられます。
3.循環型
ほぼ同一の様式が、ある程度周期的に広まりと衰退を繰り返す様式。
「循環型」の例として、流行色や現在の流行の一つでもあり、60年代や70年代のファッション〇〇レトロなどのリバイバル現象が挙げられます。
スカートの丈やメイク、ネクタイの幅、ゲーム、漫画など、同じ流行や似たような流行が、時を経て何度もくり返されるパターンです。
流行の段階
どんな流行現象にも、それぞれ発生から衰退までの展開過程があります。
流行現象を五段階に区分する見方があります。
(1)潜在期
あるスタイルが初めて生まれる段階で、それはごくわずかな人々によって試みられます。
この時期は非常に計画的で、潜在的な需要があるとしても、自然に起こる流行とは異なる特徴があります。
例えば、商業的な計画のもとにファッションが生み出され、宣伝の圧力の下で広まる流行では、ファッションショーなどで新作が紹介されます。
近年では、SNSを利用して情報が発信されることも一般的です。
(2)初発期
新しいスタイルが試みられ、その存在が多くの人に知られ、徐々に同調者が現れる段階を指します。
この時期は普及が比較的遅いとされています。
(3)急騰期
新しい様式に対する抵抗や警戒が前期までにある程度薄れ、同時に採用者の数が増えると、相互に影響し合う連鎖反応が急速に広がり、普及率が急激に増加し(5)す。
(4)停滞期
普及が一定の水準に達し、その伸びが鈍化する時期を指します。
一般型の流行では、この段階に達すると流行が終わり、そのスタイルが一定の状態で維持されます。
衰退型の場合は、これまでの広がりが緩やかになり、しばらくの間、ある水準で状態が維持されることもあります。
(5)衰退期
一度採用した様式を廃棄する人数が、新たに採用する人数を上回る時期を指します。
衰退型の流行では、この段階に入ると衰退が急速で、一度広まった様式が迅速に完全に消滅することがよくあります。