現在、ビニールの傘袋はどのくらい使用されているか試算してみました。
公共施設や学校などいろいろなところに設置されていますが、人数を試算することができそうなスーパーマーケットを対象にしました。
日本全国のスーパーマーケットの店舗数は22,990店舗(統計・データでみるスーパーマーケット 「スーパーマーケット店舗数」2023年6月)あります。
スーパーマーケットの来客数はどのくらいかというと、売り場面積によって来客数は異なります。
ある調査によれば、平日における1日の平均来客数は次のとおりです。
(統計・データでみるスーパーマーケット 「1日の平均来客数」)。
1 日の平均客数は、平日では 1,835.2 人、土日祝では 2,101.4 人
単純に計算すると22,990店舗 × 平日1835.2人=42,191,248人になります。
ではこの4,200万人が雨の日に傘袋を利用するとしたらどうなるか?
雨の日にこの4,200万人の半分が傘を差してくると仮定し、さらに傘を差した半分が傘袋を利用すると仮定します。雨が降ったら客足は減ると思いますが、平日のスーパーマーケットという日常的に行く場所なので、雨が降ってもスーパーマーケットに行くと仮定します。
日本の年間降水日数は約125日といわれています。これは1日中で1mm以上の雨が降った日です。1mm以上の雨で半数の人が傘を差し、2mm以上で全員が傘を差すといわれています。
また、降水確率0%とは、降水確率が5%未満のことであり、雨が降らないわけではありません。
また降雨を観測する予報区は結構広い(東京の場合は5区分)ため降ってない地区もあります。
買い物時間を1時間程度とすれば、降水した日と記録される日でも傘を使用しないでスーパーマーケットに行くことは十分考えられます。そこで傘を差してスーパーマーケットへ行く人数を求めるために以下のように仮説を立ててみました。
・スーパーの営業時間を12時間とすると、年間降水日数125日のうち12時間/24時間である62.5日が対象になります。
・さらに営業時間12時間のうち、実際に買い物をしている時間を1時間とすると、年間降水日数62.5日のうち1時間/12時間である5.21日が対象になります。
・また1mmの雨の場合、傘をさす人の割合は50%ですので、1日の平均来客人数のうち50%である2,100万人が傘をさします。さらにその50%の人が傘用ビニール袋を使用します。
すると約1,050万人 × 5.21日=約5,471万枚。←1年間に日本で使用されるビニールの傘袋
カサ用ビニール袋のコスト(目安)
* 傘用ビニール購入単価 → 2円/枚で算出
5,471万枚 × 2円=1億942万円
雨傘用ビニール袋は、再利用出来ず短期間でゴミになります。1枚利用しないことで4.82gCo2を削減することができます。
Co2排出量の試算(目安)
高密度ポリエチレン(半透明)1枚1g
二酸化炭素削減量 = ビニール傘袋の二酸化炭素排出量 =1 ×(1.63 + 0.033 + 0.016 + 3.14) = 4.82g-Co2
●算出の際の使用値
○レジ袋(HDPE)の「原料採取~輸入~石油精製~原料製造~樹脂製造~製品製造」における二酸化炭素排出量:1.63kg-Co2/kg
※「樹脂加工におけるインベントリデータ調査報告書<更新版>」2011年3月、(社)プラスチック処理促進協会
○材料・製品の輸送:0.033kg - Co2/kg(仮定値:輸送距離 100km。トラック輸送(4t車・積載率 50%)の原単位である0.325kg-Co2/tkmを使用)
○廃棄物の輸送:0.016kg- CO2/kg(仮定値:輸送距離 50km。トラック輸送(4t車・積載率 50%) の原単位である0.325kg - Co2/tkmを使用)
※上記いずれも、「カーボンフットプリント制度試行事業用 Co2換算量共通原単位データベース(暫定版)ver.3.0」
○PEの焼却:3.14kg - Co2/kg
※「プラスチック製容器包装再商品化手法に関する環境負荷等の検討」平成19年6月、(財)日本容器包装リサイクル協会
1年間では、カサ袋使用者数1,050万人 × Co2排出量4.82g × 年間降水日5.21日=年間Co2排出量263,678,100g = 約264トンのCo2を削減できます。
また、ビニールの傘袋を1枚使用しないことにより以下を削減できます。
・天然資源削減量(原油換算)= 1.1ml
原油換算:ビニールの傘袋の重量1g × 46.2MJ/kg ÷ 38.2GJ/kl = 1.2ml
・廃棄物発生削減量 = 1g
ビニールの傘袋の重量 = 1g
・最終処分削減量 = 0.05g
廃棄物発生削減量 × プラスチック類の灰分 = 0.92g × 0.0557 = 0.05g
参考:環境省 廃棄物・リサイクル対策部 企画課循環型社会推進室「3R 原単位の算出方法」より
https://www.env.go.jp/press/files/jp/19747.pdf