鉄素材の各種骨(名称/親骨、受骨、元親骨、先親骨 形状/溝骨、丸線骨)の所定位置(両端部、中間部)に機械加工/プレス、打ち抜き加工(天地加工と呼んでいる)を施します。
必要に応じて焼き鈍し熱処理を事前に施し加工をし易くします。
その骨に「ダボ」等の付属部品を定位置にカシメ加工で固定します。
これで機械加工完了となり、メッキ工程に進みます。
骨・中棒の製造について 3
メッキ処理について
前処理
種類別に20本~30本程度の骨数を並べ その両端部又は片側に加工された「孔」に「針金」を通し「目刺し」状にして揃えます。
その目刺し状態の骨の「錆」「ゴミ」などを物理的に落とす為 水を掛けながら「ワイヤーブラシ」で研磨工程に掛けます。
自動機を使用します。イメージとしては「車の自動洗車機」のミニチュア版の機械処理です。
鍍金工程
現在の鍍金工場は、殆どが自動化されており、各工程処理槽に骨の浸漬時間がタイマーにより管理されています。
昔は 工員さんが時計を見ながら、各工程の状況をチェックしていました。
鍍金層に浸漬させる前に目刺し状態の骨を「ラック」と呼ばれる「治具」に装着します。
ラックの大きさは 幅50cm、縦70cm程度が大型となります。それよりも小型もあり、通電性の良い銅製棒で作られた四角い「枠」になります。
枠の上部2か所に「通電バー」に掛ける為のフックが付けられています。
更に その枠/ラック内側に横桟状に設置された横棒に「爪」を施し、目刺し状態の骨を装着していきます。
同種類同サイズ骨を重ならない様、接触しない様に装着して準備完了します。
鍍金液槽の中は、空気泡/バブルを発生させて、骨同士の接触、接着を防止しています。
自動鍍金装置は、電気鍍金の各工程を自動ラインで行う為、工程順に前処理槽、鍍金槽が設置されており
自動的で次々と各槽を通電バーが移動して行き、各処理が出来ます。
一周するのに骨の種類で異なるが おおよそ15分~25分程度かかります。
前述の目刺し状態「骨」が引掛けられた「ラック」を自動ラインの通電バーに定数掛けます。
スタートは「水洗」から。「脱脂」、「水洗」、「酸洗い」、「水洗」、「銅下鍍金」、「水洗」、「ニッケル鍍金」、「水洗」、「ラックから外す」、「脱水」、「熱風乾燥」、「クリヤ塗装」、目刺し状態からバラシて、バラ骨鍍金完了となります。
・鍍金工程中の「銅下鍍金」工程が「ニッケル鍍金」工程に変更され ニッケル鍍金が2回の「ダブル ニッケル鍍金」が主流になっています。
耐食/防錆性が優れる理由からです。
・「クリヤ塗装」は 透明アクリル塗料の槽へ浸漬方法で塗装後、乾燥炉で焼き付け乾燥します。
・電気鍍金なので性質上「通電バー」に掛けられた「ラック」の位置、ラックの中の「目刺し」状態の骨の位置により通電状況が微妙に違う為、鍍金膜の「厚み」が異なってしまう事が有ります。
鍍金膜が過剰付着して剥離不良が発生すると極稀に「剥離膜」がカミソリ刃状になり危険になる事が有ります。
・JUPA基準では鍍金膜「3μ」以上の基準設定となっています。
耐食性試験(5%塩水浸漬)、鍍金膜の強度試験(曲げ剥離試験)もJUPA基準が設定されています。
・各槽に浸漬される時間は、骨の形状、寸法などにより適正に決められ、自動的に引き上げられ、ラックの掛かった通電バーごと次の槽へ移動して行き、工程が続いていきます。
昔は工員さんが時間を図りながらラックを槽の通電バーから手作業で外し、次の槽へ運び通電バーに掛けていました。
多少のバラつきが発生する事もありました。
・水を大量に使用し、酸の臭い、劇薬使用等、夏は暑く冬は寒い冷たいと俗に言う「3K職場」でしたが、現在は自動化ラインになりスタート/ゴールのラック掛け/外しと直接の手作業は減りました。
が、ゴム長靴とゴム手袋、ゴム製長エプロンと重装備での作業は変わっていないようです。