傘を取り巻く環境

日本の気候から見た最も適した傘は、これ

傘は、雨が降れば雨傘、太陽が照れば日傘、地域によっては雪が降った時に傘を使うなど、いろいろな天気で使われます。
とはいえ、気候の変動によって売り上げが大きく変わる商品でもあります。
環境の問題が当然のこととして語られる現代において、気候は今後どのようになっていくのか?日本の気候・気温・雨量・日照時間などは変化しているのか?
傘マニアからみた日本の気候変動について気象庁サイトの情報を基にまとめてみて、現在の気候に適した傘を考えてみたいと思います。

1.日本の平均気温の変化

気象庁によると
日本の平均気温は、1898年以降の100年間でおおよそ1.2℃上昇しています。特に1990年代以降、高温となる年がよく見られます。
日本は地球温暖化による気温上昇が比較的大きい北半球の中緯度に位置しているため、世界の平均よりも上昇率が大きいと考えられます。

気温の上昇に伴い、熱帯夜(夜間の最低気温が25℃以上の夜)や猛暑日(1日の最高気温が35℃以上の日)が増え、冬日(1日の最低気温が0℃未満の日)が減少しています。
また、100ミリ以上の大雨が降る日数も長期的に増えており、地球温暖化の影響がある可能性があります。

気象庁サイトよりhttps://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/temp/an_jpn.html

2.地球温暖化のメカニズム

地球の平均気温は現在、およそ14℃前後です。しかし、もし温室効果ガスが存在しない場合、大気中に水蒸気、二酸化炭素、メタンなどがなければ、気温はマイナス19℃程度になるでしょう。太陽から地球に届く光は、大気を通り抜けて地表を暖め、その熱が放射される際に温室効果ガスによって吸収され、大気が温められるからです。

近年、産業活動の増加に伴い、二酸化炭素やメタン、フロン類などの温室効果ガスが大量に排出され、大気中の濃度が高まり、熱の吸収が増加しました。その結果、気温が上昇し始めたのが地球温暖化の現象です。

IPCC第4次評価報告書によれば、温室効果ガスの地球温暖化への寄与度は、二酸化炭素が76.7%、メタンが14.3%、一酸化二窒素が7.9%、フロン類(CFCs、HCFCs)もまたオゾン層を破壊する物質であり、1.1%です。
つまり、化石燃料の燃焼などによって放出される二酸化炭素が最も大きな温暖化の原因とされています。

実際、二酸化炭素の濃度は産業革命前の1750年に比べて、2013年には400ppmを超え、約40%以上も増加しています。
気温の上昇は、熱中症のリスクも高めることになります。そのため、外出時に日傘を使用することは老若男女のいずれにとっても必要不可欠になるかもしれません。

3.日本の降水量の変化

2021年の日本の降水量は、基準値(1991〜2020年の30年平均値)から見ると、+213.4mmという偏差がありました。これは1898年以降の統計で見ると、10番目に多い降水量です。
日本の年間降水量には、長期的な変化傾向は見られませんが、特定の時期においては多雨期が現れます。具体的には、統計が始まった1898年から1920年代半ばまで、1950年代、そして2010年代以降に多い降水期間が観測されています。
また、1970年代から2000年代までは年ごとの降水量に比較的大きな変動が見られました。

気象庁サイトよりhttps://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/temp/an_jpn_r.html

東京都の年間降水量の長期推移
・東京のゲリラ豪雨は30年で約1.7倍に増えました
・だが年間降水量は長期的にほぼ変わっていません
・都市部のヒートアイランド現象がゲリラ豪雨の原因です

大阪・近畿地方の傾向
大阪では年平均気温が100年あたり約2.0℃上昇しています。
猛暑日や熱帯夜の日数については、1990年代以降の発生数は特に多くなっています。
いずれのシナリオにおいても21世紀末の大阪の平均気温は上昇し、多くの地域で猛暑日や熱帯夜の日数が増加、冬日の日数が減少すると予測されます。
近畿地方では 、短時間に降る非常に激しい雨(1時間降水量50mm以上)の回数には増加傾向が現れています。
近畿地方で見た場合、大雨や短時間強雨の発生頻度や強さは増加し、雨の降る日数は減少すると予測されます。

年間の降雨量や降雨日数は増えていませんが、ゲリラ豪雨は都市部で増えているということは豪雨でも活躍できるある程度しっかりした折りたたみ傘を持ち歩く必要性がありますね。線状降水帯という言葉が当たり前に使われるようになったのも分かります。
ただし原則的には豪雨のときの外出はあまり無理しないで、豪雨が落ち着いてから出るようにするのがよいです。

4.日本の日照時間の変化


直近30年ほどを見ると日照時間が長くなる傾向にありますが、もっと長い期間で見た場合には必ずしも長時間化しているとは言えません。

天空の全方向からの太陽放射を全天日射といい、水平面で受けた単位面積あたりの全天日射エネルギーを 全天日射量といいます。
全天日射量の東京の年平均値(MJ/m2)の推移を見てみると1970年代以降より日照度は上昇傾向にあることが判ります。
その原因としてSPM[suspended particulate matter]=浮遊粒子状物質について大気汚染対策が進んだことにより減少したことといわれています。

気象庁サイトよりhttps://www.data.jma.go.jp/gmd/env/uvhp/diag_cie.html

気象庁のデータによると、「つくばの地表に到達する紫外線量注)は、1990年の観測開始以降、増加しており(信頼水準99%で統計的に有意)、 増加率は10年あたり+4.1%(年間2.92kJ/m2)でした。
一方、つくばのオゾン全量は、1990年以降緩やかに増加しています。それにもかかわらず、 紫外線量が増加傾向を示すのは、紫外線を散乱・吸収するエーロゾル(大気中の微粒子)等の影響が原因として考えられます。」とのことです。

日照度や紫外線量が増えているということは、肌の老化も進みやすいということになります。日傘や帽子、サングラス、UVカットの服、日焼け止めなど複合的に対策をしていきましょう。

5.将来予測のまとめ

気象庁:日本の気候変動2020
https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/ccj/2020/pdf/cc2020_gaiyo.pdf

上昇するもの:年平均気温、海面水温、海面水位、激しい雨、強い台風の割合、台風時の雨風、海洋酸性化
減少するもの:降雪、積雪、海氷面積

上記の傾向については、みなさんも近年実感しているところではないでしょうか。

6.最近の気候変化に合った傘

これまでのデータをまとめると、最近の気候の変化については、

「気温は上昇し、年間の降雨量は変わらないがゲリラ豪雨は増えている」
「日照時間はおおむね変わりないが日照度と紫外線量は増加傾向にある」

といえるでしょう。

最近の日本の気候においてどのような傘が適しているかを考えると、突然激しい雨が降る可能性があるので常時携帯できる折りたたみ傘が第一選択としておすすめします。
ただし、折りたたみ傘の中でも軽量化を最優先の目的とした華奢なタイプではなく、ある程度しっかりした構造のタイプでないと突然降る激しい雨に対応できないでしょう。
また、気温上昇と紫外線増加の傾向が見込まれるため、遮熱やUVカットを目的とする日傘も兼ねることができる晴雨兼用傘が最近の気象傾向からは適しているといえます。

最近の日本の気候に最適な傘を1本選ぶとすれば上記になりますが、目的別にいくつもの傘を準備するのであればそれぞれより目的に合った傘があります。ぜひこれから傘を買おうと考えている方のご参考になれば幸いです。

参考資料
気象庁 https://www.jma.go.jp/jma/index.html