フェアトレードの話と言うとどこか遠くのアフリカや中央アジア、中南米あたりの話を想像されると思います。当然、あり得ないぐらい貧しい国の人々を、わずかな賃金で労働させて作り出す低価格製品というものに問題があるというのは理解しやすいと思いますが、実はこの問題は、大なり小なりどのような国にも存在します。
例えば世界一の経済大国アメリカにおいても、不法移民に対する最低賃金以下労働の問題は残っていますし、日本においても、内職労働における実質最低賃金以下労働などの問題があります。
また、手に職系の高齢者さんの労働と報酬はピンキリだったりしますから、切り取り方によっては問題のあるケースも出てきます。傘の製造現場においては高齢の職人さんも多いので、このことは気になる問題になるわけです。
もし、ある年金生活者の職人さんが、「私は年金で食べれるので、加工費は少額で良いです」と言い出したらどうなるでしょう。その場合、その職人さんに仕事が集まってしまうため、他の職人さんも加工費を低価格に設定せざるを得なくなります。他の職人さんも全員副収入があるというのであればまだ良いのですが、若い職人さんで傘製造に心血を注いでいる方がいる場合には大変困った問題になるという事は言うまでもないでしょう。
もっとも現状の日本の傘づくりの現場において、そのような事で困った事態が発生しているわけではありません。というのもやはり傘の職人の供給が多くはないため、加工費が異常に低くなってしまうようなことにはなっていないからです。しかし、日本は資本主義経済である以上、労働の供給量が需要を上回る局面においてはフェアではない取引が発生しないとも限らないでしょう。
ですから、消費者の方には製品の質や価格だけではなく、そのような背景にも着目していただけたらなと思います。それほど難しい事ではありません。シンプルに自分が作る事が出来る価格からどれぐらい逸脱しているかを想像していただくだけで、あなたの手に取った商品がどの程度フェアなものなのかの判断材料になるのですから。