傘雑話集

傘寿の贈り物

傘寿の贈り物

「傘寿なのだから傘を贈るのが良い」というフレーズ、文脈上は合っていそうな気がしますが、実際には傘寿の傘需要は限定的です。
傘業界において傘寿に傘の贈り物をという掛け声は、以前からなかったわけではありませんが、過去においてはあまり大きな声ではありませんでした。

なぜだと思いますか?

傘寿に関する記事「傘寿(さんじゅ)、日本と海外の長寿祝い」
https://kasazenshu.acase.co.jp/umbrella/umbrella-kotobuki/

答えは、

過去において「傘寿の年齢に達した高齢者はあまり健康ではなかったから」です。
そしてそれゆえに、傘寿の贈り物に傘は適切ではなかったと言えます。

傘は外を歩くために使う道具で、これは雨傘、日傘に関わらず、ある程度以上の健康体の人でないと使うのには支障があり、寝たきりの人に傘を使ってもらうのは無理です。
せっかくのプレゼントですから、本人が使えるものを用意したいということで、以前は傘寿の傘需要というものはほとんどなかったのでしょう。

ただ状況は変化しつつあるようです。昨今の調査によると、以前に比べ健康な80歳の割合がかなり増えており、健康の定義にもよるようですが、80歳の方の半分以下しか「私は不健康である」と答えなかったようです(厚生労働省の統計から)。
大昔は80歳になるのが稀で、最近まで健康な80歳という人は10%もいなかったのですが、やはり平均寿命、健康寿命の延びが著しいという事のようです。

これからの時代には「傘寿の贈り物は傘」で良いのかも知れません。