傘と文化との関係

「傘」が使われた マーク、シンボルについて

天気予報を見ていると、雨について天気記号(●)ではなく傘と雨の組み合わさったマークを見ることがよくあります。
なかには雨の量の違いで雨 や暴風雨 などの雨量の違いを出していたりします。また傘が開いているものや閉じているもの などもあったりしますが、いずれにしても傘マークは一目で傘や雨に関係しているのだなということがわかります。(ただし、天気予報の雨予報に傘マークを使うのは日本と韓国のみ。そのほかの国は、「雲+雨」の表記とのこと)。
大昔からほとんど形の変わらない「傘」が使われたマークについて、見たことあるかも、というものを紹介します。

宝傘  仏教と傘


インドでは、傘はもともと酷暑の貴族や高僧の日除けとして使用され、吉祥をもたらす八つの物の一つとされています。
八吉祥(はちきっしょう)は、ヒンドゥー教、ジャイナ教、仏教などいくつかの宗教で使われる、8つの吉祥な象徴の組み合わせを指します。これはアシュタマンガラやタシ・タギェ、八宝、八吉祥紋などとも呼ばれます。

紀元前4世紀から6世紀のインドで、ブッダ(ガウタマ・シッダールタ)は苦悩と涅槃、転生の教えを広め、仏教を開祖しました。
彼は自身の像を好まず、教えを説く際にさまざまなシンボルを使用しました。仏教には八つの縁起の良いシンボルがあり、これはブッダが悟りを開いた際に神から贈られたものを表しているとされています。
八吉祥の一つである宝傘(または天蓋)は、儀式において使われる道具で、バルダッキーノや天蓋と同様の役割を果たします。宝傘は災難や病気から守る象徴であり、天蓋や蒼穹を表しています。それゆえ、広がりや展開、エーテル要素(大気のようなもの)を表現しています。宝傘は頭頂にあるサハスラーラ(チャクラ)が持つ特性である広がりや展開、守護を象徴し、宝傘の下で法に帰依した人々を示唆しています。

仏典では、「日傘譚」と「仏陀の一大傘蓋の神変」などで傘が言及されています。傘は人々を太陽の熱や雨から守る役割を果たします。仏教では、傘は苦悩や有害な力からの保護を意味し、また涼しい木陰を楽しむことも象徴しています。
以上のように、インドでは傘が重要な象徴とされ、ブッダとも強く関連しています。

アーノルドパーマー


「アーノルド・パーマー」というブランドは、1961年にアメリカで始まり、1969年に日本のレナウンが展開しました。
このブランドは、伝説的なゴルファーであるアーノルド・パーマーにちなんで名付けられました。マーク・マコーマックというスポーツマーケティングのエキスパートと共に設立された「インターナショナル マネージメント グループ(IMG)」が関わりました。ブランドの象徴である「傘のロゴ」は、パーマーのインスピレーションから生まれました。そのロゴには「雨が降らなきゃ、虹は出ないさ」というメッセージが込められています。

1970年代には、日本でゴルフブームが起きました。この時期に、アーノルド・パーマーの会社であるアーノルド・パーマー・エンタープライズと日本のアパレルメーカーであるレナウンの契約が結ばれ、日本での展開が始まりました。
このブランドは、紳士服やゴルフウェアだけでなく、婦人服や子供服なども大ヒットしました。パーマー自身もテレビコマーシャルに出演し、傘のマークのついた「ファミリー」ブランドを広めました。「アーノルド・パーマー」は、日本初のトータルファミリーブランドとして注目されました。
当時のレナウンはアパレル業界のリーダーであり、デザイナーやパタンナーの才能も豊富でした。それにより、ゴルフウェアだけでなく、婦人服や子供服など、複数のデザイナーがそれぞれ担当し、多様なアイテムを提供できたのです。そして、共通の傘のマークで統一されたことで、ブランドとしての一体感を生み出しました。
しかし、その後、アーノルド・パーマーは過剰に展開され、大衆ブランドとなってしまいました。そのため、ブランドの価値が薄れていきました。

しかし、2000年代前半になると、アーノルド・パーマーは再び注目を浴びるようになりました。レナウンの経営が悪化し、優れた人材が他社に移っていく中で、かつての商品の原画などが見つかりました。そこで、当時の商品を忠実に再現することで、若者たちの心を掴みました。過去の教訓から、ブランドの品質を守る方針に転換しました。
しかし、レナウンの経営破綻により、2020年には契約が終了しました。現在は、水甚という会社が新たなライセンス契約を締結し、2021年から日本国内で展開されています。

若者には新鮮な感じで受け入れられてますが、最初の大ブームを知る世代の方も当時を思い出して改めて着てみてはいかがでしょうか。

アーノルドパーマー公式サイト https://arnold-palmer.jp/

HÉLAS ヘラス

フランス発のスケーターファッションブランドのヘラス。
プロスケーターであるルーカス・プイグが手掛けるハイエンドなスケーターブランドです。
傘のマークをアイコンにしたレトロな雰囲気が漂うプロダクトはユースカルカルチャースタイルにも最適です。
ファッションフリークに愛用者の多いブランドです。

HÉLAS公式ページ https://www.helascaps.com/

法テラス

法テラスは、司法サービスを身近に利用しやすくするための架け橋として、平成18年に設立されました。
その目標は、法的な争いや悩みを抱える人々が迷わず解決へと進むことです。
日本司法支援センターは、相談者の方々に明るい光を当て、彼らの願いである法的なサポートを提供しています。
その願いは太陽の傘で象徴されています。また、法の「傘」というシンボルは、雨に濡れて困っている人々に「お入りなさい」と声をかけ、支援を差し伸べる意味も含まれています。

法テラス公式ページ https://www.houterasu.or.jp/

アンブレラ社

ウィキペディアによると
「バイオハザードシリーズ」などのテレビゲームや関連作品で登場するのは、架空の企業です。その名前は「アンブレラ社」とも表記されます。この企業は国際的なガリバー企業であり、薬品開発部門を持っています。社名は「傘で人類を守る」という意味を持ち、社訓は「人々の健康を守る」というものです。社章も「赤と白の傘」というデザインです。
アンブレラ社は表向きは製薬企業を装っていますが、裏では生物兵器の開発を行っています。これによって大きな資金を得ており、表と裏の両方の市場を支配しています。その結果、巨大な多国籍企業へと成長しました。

参考:カプコン作成 アンブレラ社サイトhttp://www.e-capcom.com/bio0hd/umbrella_japan/

ケンとメリー


1972年に登場した4代目のC110型スカイライン、通称「ケンメリ」は、大変な社会現象を巻き起こしました。
CMでは、ケンとメリーがスカイラインに乗って日本各地を旅する姿が描かれ、その人気は爆発的でした。さらに、CMソング「ケンとメリー~愛と風のように~」も大ヒットし、オリコンランキングでは19位にランクインしました。
CMに登場する木は「ケンとメリーの木」と名づけられ、ブームの象徴となりました。
このCMは当時の人々に大きな感銘を与え、多くの人々がその存在に魅了されました。詳しくは以下をご覧ください。

参考:Webモーターマガジン「“ケンメリ”ってなに?〜優れた広告戦略が生んだ歴代最多販売台数を誇る4代目スカイラインのこと」
https://web.motormagazine.co.jp/_ct/17372413

まとめ

上記のように様々なところで傘がシンボルとして使われていますね。
一度意識するとそのことばかりが目に付くことを心理学の用語でカラーバス効果といいます。この記事を読むことで、皆さんもこれから街中で傘のマークにばかり目につくのではないかと少しドキドキしています。