現在巷にあふれかえっている傘の大半は使い捨てが前提となっている傘のため、壊れても修理する前提にないものがほとんどです。
が、とりあえず修理できる傘の範囲で数回にわたって傘の修理に関する話を考えてみたいと思います。
最初に傘生地が破れたというケースですが、これは基本的にはあきらめる方が良いです。ほつれや小さな穴程度であれば修理可能という場合もありますが、大きく切れてしまった場合、修理は極めて困難になるからです。というのも傘は親骨間に張られた生地のテンションのバランスで保たれているため、一部に想定外の切り継などがあると親骨にかかる力が均一にならなくなります。結果、その後の使用が進むにつれ、パーツにどんどん負荷が加わり、骨の方がダメになってしまう事になります。
ですから傘生地が破れてしまった場合は、カバーの乗せ換えと言って、使っていた生地を外して他の生地を乗せる方が良いです。外した傘生地は傘としては再生できませんが、昨今、バッグにリメイクするなど色々な方法が考案されていますので、そちらの方をお勧めします。
傘生地を張り替えたらもう違うものであると考える方で、何とか元の生地を使って修理したいと考えられる方にはコマ取り換えという方法もなくはありません。骨に負担はかかるものの、破れたコマだけを別の生地で代替することである程度、傘の再生は可能です。コスト的には傘の生産にかかるコストとあまり変わらないくらいの修理コストが発生すると思われますが、形見などどうしてもという場合は、この方法もやむを得ないでしょう。
穴の開いた部分を修理して雨が漏れる、水をはじかないなどは仕方ないと思われる方であれば、穴だけをパッチワークや刺繍などでふさいでしまう方法もあります。傘の天井部分ですと使用に支障をきたしますが、外周に近い部分であればなんとかなるので、位置によっては有効な方法です。使用感は穴が開いていた時とあまり変わりませんが、穴あき傘ではないという気分の問題だけを解決する方法と言えます。
結局、雨を漏らさず使いたい傘と言う製品の特長から考えますと、生地に関しての部分修理はあきらめてカバーを交換するという方が良さそうです。