傘は進化していないと言われながらも、少しずつは進化をしております。日傘としての一番大きな最初の進化をしたのは、日傘を使用する目的の一つに紫外線避けというものを導入したことです。
と言いますのも、歴史的に棒の付いた傘の発祥は日避けですからまず日傘が出来たという事になっていますが、それはあくまでも太陽光を遮る目的で使用されました。古代の人に紫外線という概念があるはずもないので、紫外線カット目的で使われたわけではないですが、太陽光を遮ると日焼けをしにくくなるという考えはあっただろうと想像は出来ます。
そのころは暑さ避けと紫外線避けは同一のものとして考えられていたと思います。そして近代になって日焼けの原因は紫外線であるという事が分かってきた段階で、日傘の製造業者は紫外線から身を守ることを目的とした傘をつくろうと考えたのです。
ところで日傘において紫外線カット機能を付与しようという事になった当時、日傘の主流はレースや透け生地とシルクや麻などの組み合わせで、太陽光を軽減しながら風を通すというものでしたから、これに紫外線カット機能を付けようとしたという事になったわけです。
先述のように日傘の生地素材は多くが天然ものでしたから、繊維にチタンなどの紫外線カット素材を練りこむことが出来ないため、必然的に紫外線カット材を生地に塗布することが行われました。現在の日傘を知っている我々としてはびっくりするような、太陽光は透けて来るけど紫外線はカットするよという日傘が誕生したのです。
当然ですが、可視光線が抜けてくる部分のうち紫外線カット材がない部分は紫外線が通り放題ですから、現在のものと比較すると当時の日傘は紫外線カット効果が弱かったという事は言うまでもありません。
もちろん、その当時の日傘の製造者はそのことはよく理解していましたが、当時主流であった優雅な風通し良い日傘を、一つも隙間のない盾のような製品に変えてしまう事は出来なかったのだと思います。あくまでも見た目はそのままで紫外線カット機能のみを付けたという事実が欲しかったとも言えますね。
また今でこそ、その重厚な盾にフリルなどを付けて優雅さを演出してはいますが、現在の日傘はやはり盾なのでどうしても武骨です。なんとなくではありますが、そのような日傘は甲冑を着た貴婦人みたいなちぐはぐさは否めないものとなってしまっています。
そして、見た目を取るか、実を取るか、現在の人は実を取る人の方が多いようです。