日本は小さな島国であり、海水面より上に関して、世界から比べると秘境と呼べるようなダイナミズムに富んだ地形は少ない方であると思います。
例えばギアナ高地にあるようなテーブルマウンテン。ヒマラヤ山脈にある数々の高峰。コロラド川流域のグランドキャニオン。アフリカ北部に横たわるサハラ砂漠。どこをとってもドローンからの映像を見るだけでその圧倒的に規模に目を奪われますが、日本においてはそこまでの地形はあまりありません。
もちろん、条件を色々つけることで、個々は実は世界でも類を見ない地形ですという事はあるのですが、すぐにここしかなさそうだと感じられる地形というものは日本には少ないです。
そして、その原因の一つとして日本の気候が温暖であるという事があげられると思います。
基本的に驚くべき風景というものは極端な気候の結果生まれたものが多く、異常なまでに雨が少ないが故の渇水状態から砂漠が出来たり、深い渓谷が出来たりします。また反対に雨が多すぎて切り立った崖が削り出されたり、雪が多すぎて氷河が出来たりということもあります。
しかし、日本にそのような激しい地形が大規模に存在しないのは、極端すぎる気候的要素が広範囲にないからだとも言えるわけです。そして南北に縦長な日本は、様々な気候が存在している地域という事になりますので、雨の降り方に関してはその分様々な特徴を持っていると言えます。
実際、日本においては東南アジアの特徴である雨の多い地域でありながら、スコールのような集中豪雨だけではなく、本当に様々なタイプの雨が降ります。これはもちろん日本列島が南北に縦長であるだけでなく、大陸の東側に日本海を挟んで存在する事が原因で、この長さが様々な種類の降水を生み出す鍵だと思われます。また、なぜ日本海が縦長地形の西側にある事が重要かと言いますと、偏西風に対して一度湿度を補給できる地形だからです。
そしてそれだけ様々な種類の雨が降るために、雨に関する言葉も日本語にはとても多いのです。同様に日本語には緑を指し示す言葉もとても多いのですが、これも日本は雨が多い地域だからという事だと思います。