傘雑話集

ビジネスホテルの傘立て

ビジネスホテルの傘立て

雨が降っているときに傘を持ってホテルに行く場合、傘はどのようにすればよいでしょうか?

もちろんそのホテルの規模、システムによるわけですが、ざっくりランク分けをした場合、高級なホテルですとクロークで預かってくれるのが一般的です。これに対し、ワンランク下のビジネスホテルですと、鍵付きの傘立てが用意されていたりするケースも多いです。さらにそれ以下のランクになりますと、部屋に持って行ってくださいと言う場合があったりします。

ではなぜホテルのランクによって対応が違うのかと言いますと、濡れた傘を相手別に保管する行為が、思いのほか面倒であるからです。クローク保管の場合、コートは番号を付けて吊るし、カバンは保管棚に持っていけば良い訳ですが、濡れた傘は扱いに困ります。そのまま保管してはそのあと宿泊者が再外出するケースに対応しにくくなってしまいますから、レベルの高いホテルであればあるほど濡れた状態のままというわけにはいきません。超一流ホテルであれば、裏で陰干しをしてからたたんで保管し、宿泊者が使いたいときに良い状態で渡せるようにしていますが、それはそれなりに大変な作業となります。

ですから、ビジネスホテルなどでは鍵付きの傘立てを用意して、濡れたまま傘を立てておくかどうするかは宿泊者に任せているわけです。もちろん鍵が付いているのは管理の問題を避けるためです。
例えば飲食店の場合、店内に傘を持ち込むのはなかなか勇気がいりますし、店の玄関に傘立てがあってもちょっと悩む人もいるでしょう。間違えて持っていかれたりしないかなと。ましてホテルという多人数が行き来する場所になると大きな傘立てを用意して、ご自由にとはいかないわけです。かといって館内を雨のしずくでびしょびしょにされますと、清掃の問題が出てきてしまうので、ビジネスホテルの鍵付き傘立てがより良い方法だという事になってくるわけなのですね。

濡れた傘と言うものはやはり厄介な存在でありますし、この扱いが難しいからこそビジネスホテルには鍵付き傘立てというものが存在しているわけです。一見、ホテルの入り口に傘立ては場違いな感じがしますが、そのような合理的な理由があったのです。