傘を解析する

【傘のパーツ紹介】石突について  傘先端の魅惑の世界:傘の「石突」の深層に迫る

傘のパーツで「石突」を知っていますか?
傘の先端の部分をいいますが、これまであまり意識をしたことがなかったのではないでしょうか。
傘を人に例えたとき、石突は足元といわれます。
今回はその「石突」について少し注目してみたいと思います。

石突とは 名前の由来:「石突」という用語の起源や意味について

「石突(いしづき)」とは、洋傘の中棒の先端についている地面に接するパーツのことです。
広辞苑によれば、「石突」とは「地面を突く部分」という意味を持ちます。
傘だけでなく、杖やピッケル、スキーストック、矛や鎗などでも地面に突き立てる部分を「石突」と呼ぶことがあります。
また、弓道では、刀や槍の刃とは逆の先端部分を「石突き」と呼び、武具の柄部分を保護するためのものを指します。
これらのことから、傘の石突の役割は、傘を閉じて持ち歩く際に地面に突く役目があるということです。

安全性と保護機能:「石突」が傘を守る役割と機能、全体のバランス

・石突の役割1 地面と接するときの保護

石突がないことを考えてみてください。
長傘の場合、地面と接する部分がないため傘を常に宙に浮かせて持ち歩かないといけません。
つい地面を突いてしまうと、生地が直接地面についてしまいダメージがついてしまいます。
そこでやっぱり石突がないとね、ということになります。
一方、折りたたんで持ち運ぶ折り畳み傘には、地面をつく必要がないタイプがほとんどのため石突が無い、もしくは小さくなっています。
また、和傘の場合は、洋傘と上下逆に立てかけ、持って歩くため手元に石突が付きます。

・石突の役割2 全体バランスのポイント

傘を閉じたときの長さ(全長)はどれぐらいがいいと思いますか。
ステッキのようなイメージで、少し腕を曲げた状態で地面に着く感じがベストではないでしょうか。
そのため使う人の身長によって変わってきます。
では傘の開いたときの大きさはどうでしょう。
大きいと重くなりやすいので取り回し面でマイナスになります。小さいとコンパクトですが、雨のとき体が濡れやすくなります。このあたりは使う人の好みや状況によって変わってくるところです。

そのため、日傘のように小さな傘でありながら長めだったり、逆に大きな傘で長さは控えめだったり、といった傘も商品ラインナップに必要です。
そこで石突によって長さの調整をすることになります。
石突の長い傘は全体的に長くほっそりと見えますが、石突の短い傘は全体的にコンパクトに見える印象となります。
日傘の石突は丸みを帯びて小さく、雨傘は細長いのが特徴です。
雨傘は傘を閉じた際に地面に着くため、より丈夫な作りとなっています。

構造とデザイン:一般的な「石突」の形状や材料に関する情報

・石突のデザインその1「中棒一体型」

傘の手元(柄)の部分、手元から伸びる中棒(シャフト)がそのまま生地を貫通して、石突になっているスタイルで手元から石突まで1本化しているものです。
1868年創業で150年以上の歴史を誇るイギリスのフォックス・アンブレラズ社では“ソリッドタイプ”と言われています。

・石突のデザインその2「別石突」

中棒の上から別に用意した石突を帽子のようにかぶせるのが「別石突」です。
中棒の太さや素材に関わらず、さまざまなデザインにできるのがポイントです。中棒にかぶせるので、太さは基本的に中棒よりも太くなります。
子供用は振り回すことなども想定し安全性を高めるために、太くて先を丸くしたプラスチック製のものを採用することが多いです。

・石突の素材その1 金属製の石突
素材は亜鉛合金からなり、中棒と同じ太さで直接取り付けるタイプの石突です。大人っぽく傘に金属の風合いを出したい場合やすっきりとスリムに仕上げたい場合は、この形状の石突を使用することが多いです。また、樹脂素材の石突もあります。

・石突の素材その2 プラスチックの石突

素材は主にプラスチック製で、PP(ポリプロピレン)やABS樹脂を使用します。主に子供用傘で使われております。
中棒に対して帽子を被せるように取り付けるため、キャップと呼称されます。

・折りたたみ傘の石突

小さいながらもいろいろと形状の違いはあります。素材は長傘と変わらず変わらずPP(ポリプロピレン)やABS樹脂を使用する場合が多いです。

まとめ 傘を持つときのマナー

子どもは身長に対して大き目の傘を持つことがあるため、どうしても傘をひきずって歩いてしまい、石突部分がすり減ってしまうことがあります。
大人になるとそのような事は無くなりますが、逆に傘の中央部分を持ち、前後に振って歩く人を見かけることがあります。
そのような人がいると石突部分が刺さりそうになって危険を感じることがあります。
傘を安心して使うためにも傘を閉じているときの石突や、開いているときの露先について、周りの人への影響を意識することがマナー向上につながると思います。

無くてはならない石突ですが、たまには自分の傘の石突部分を見てみてはいかがでしょうか。
しみじみと見てみると意外な姿をしているかもしれません。そして石突に関心を持つことによって自分の傘の石突がどこに向かっているのか、周りの人に危ない思いをさせていないか、という点にも気づくようになると思います。

傘の持ち方について書かれた記事はこちら
「雨の日だけじゃない!傘の持ち方マナーで周囲の印象もアップ」
https://kasazenshu.acase.co.jp/umbrella/coolwaytoholdanumbrella/