傘雑話集

傘の持続可能な循環モデル

傘の持続可能な循環モデル

デジタルカメラが出来る前にレンズ付きフィルムと命名されていたカメラがありました。一般には使い捨てカメラと呼ばれるものですが、正確には使い捨てではなくリユースされるカメラでした。ですから製造企業はこの商品を「レンズ付きフィルム」と命名したのだと思います。

そしてこのリユースシステムの優れていた点は、写真の現像時にレンズ付きフィルムを回収し、企業が洗浄して再利用することで消費者の心理的な負担がほとんど無かった事です。
使い捨てカメラのボディはリユース前提で限られた数の型だけ作られていました。市場に数千の型があればリユースは不可能ですが、このカメラは初めから持続可能な循環モデルを考えて作られていたのです。

さて、では傘の場合はどのように考えたらよいでしょうか?
実のところ傘の場合も同じような話で、再利用前提の傘を限られた数の型だけ作れば良いわけです。そして、再利用を消費者に促進するため、傘を使い捨てにしないためにやれることは昭和の昔に存在した空き瓶をお金で回収するシステムと同タイプの回収網構築しかないと思われます。

使わない傘をお店に返すと100円もらえますというような仕組みがあれば、傘を使い捨てにする人は減るでしょうし、鉄道会社に溜まってしまう遺失物傘の引取り先も問題が無くなります。もっとも傘を失くす人からすればすぐ処分しないでもらいたいとは思われるでしょうが、一定期間でお金に代わるのであれば保管料ぐらいは出るのではないでしょうか。

当然ですが、いらなくなった傘がお金に代わるとなると、盗難の問題が出てきます。ただでさえ盗まれやすい傘ですからとても混沌とした未来が想像できてしまいますよね。とはいえ一人の人間が明らかに大量の傘を持ち込んできたら怪しまれますし、デポジットの金額が大きくなければさすがにそれらを食い扶持にしようとする輩はそんなには出ないと考えられます。

もう一つはどこが回収業務を請け負うのかという問題ですが、郵便局が良いと思います。物を運ぶスペシャリスト集団ですし、ゆうちょ銀行などのお金に関するノウハウもあります。現在は民間企業であるという立て付けであるとは言え、国とのつながりも太いので傘の環境問題に関して国を挙げて取り組むというのであれば、一番良いのではないでしょうか?