傘雑話集

傘と言う言葉

傘と言う言葉

傘と言う道具は要するに雨避け、日避けなのですが、言葉に内包された意味はそのような単純なものばかりではないようです。主要なものとしては安心、安全、保険などがあげられるのでしょうか。

例えば生命保険会社のCMのフレーズとして、
「あなたの人生の傘でありたい」
などという言葉があります。
これは明らかに人生には暑すぎて辛い日や寒く雨が降る日があるので、そんなつらい状況を緩和できるのは傘のような保険が最適なのですよと言う意味です。
傘と言う言葉で安心感を演出しているわけです。

また、政治的な用語となりますが、
「核の傘」
という言葉もあります。
これは核保有国が核を持たない国を仲間にして、ほかの核保有国からの攻撃時には報復してあげますよ、だからあなたたちは核を持たないまま、核の脅威から身を守れますよと言う意味です。もちろん、実際に反撃してもらえるかは分かりませんし、そもそも反撃してもらっても自国が滅んでいたら無意味な復讐では?とも思いますが、これらもふわっとした安心感を与えていることは間違いないところではあります。

そしてこれらのような傘が持つ外敵から守るイメージを大きくした言葉としては、待避所(シェルター)ほどの強度はないものの一時的に悪い状況をしのぐものとして、
「グループ傘下の企業」
という言葉もあります。
支配下に置くので、親分が子分を守るという意味でも捉えられますし、そこまでの強さが無くても、グループ全体で参加企業は守られている感じがあるというのが、この言葉です。

以上のように傘には盾程の強固さはないがなんか安心するというイメージがあり、そのあたりの事も日本人が傘を好むポイントなのかも知れませんね。