傘のおすすめ

体格と傘 傘をさしてもなぜ濡れる?

今さらですが

雨に濡れないように傘をさすとき、または日差しを避けるために日傘をさすとき、いずれにしても上空からやってくる雨や日光から頭や体を防ぐために傘を活用しています。

今までの経験からどのように傘をさすと効果的に防ぐことができるかは自然に身についていると思います。
ですが、いま改めて効果的に防ぐ理由や濡れてしまう理由を検証することで、新たな発見があるかもしれない、と思いました。そこで雨傘の場合を中心に検証してみたいと思います。

傘の大きさと体のバランスについて

傘は、雨天時の必需品であり、その選び方や使用方法は、快適に過ごすための重要なポイントです。
傘をさしているときはできるだけ雨に濡れたくないです。
そのためには、自分の体の大きさや荷物の状態によって傘の大きさが変わってきます。大は小を兼ねるではありませんが、大きければいいのかというと取り回しや持ち運び、使い勝手の点で大きすぎる傘は不便です。
必要にして十分な大きさの傘はどのくらいなのか、雨の濡れ方と傘の大きさについて調べてみました。

体格に合わせた傘のサイズ選びは、雨から身を守る上で基本となります。例えば、身長が160cmの方は、90~104cmの傘が適しているとされています。
身長が5cm増えるごとに、傘のサイズも3cmずつ大きくすると良いといわれています。

一般的に言われている傘のサイズと身長の関係
身長親骨のサイズ直径(差し渡し)目安
身長90cm以下38cm2~3歳
身長85~95cm40cm3~4歳(保育園時くらい)
身長90~105cm45cm4~5歳(幼稚園児くらい)
身長110cm以下47cm4~6歳
身長120cm以下50cm85cm5~6歳(小学校低学年くらい)
身長140cm以下55cm80~90cm7~10歳(小学校中学年くらい)
身長160cm以下60cm90~104cm10~15歳(小学校高学年~中学生くらい)
身長170cm以下65cm100~110cm14~17歳(中学生~高校生くらい)
身長180cm以下70cm106~116cm
身長180cm以上75cm120~130cm

身長以外の体のサイズ

人間の横幅の平均値については、国や年代によっても異なりますが、日本人の場合、以下のようなデータがあります。

• 肩 幅:男性は約42cm、女性は約38cm
• 胸 囲:男性は約88cm、女性は約82cm
• ウエスト:男性は約79cm、女性は約67cm

これらの寸法は、身長とほぼ比例的な関係にあるとされており、身長をHとすると、以下のような略算値があります。

• 肩 幅:0.25H
• 胸 囲:0.55H
• ウエスト:0.5H

例えば、身長160cmの人の場合、肩幅は約40cm、胸囲は約88cm、ウエストは約80cmとなります。

体の厚みや幅と併せて、ランドセルやカバンを身に着けたときどのくらいの大きさになるかも考慮して、傘のサイズを決める必要があります。
ランドセルはマチ13cmほど、横幅23cmほどが多く、大人用のカバン(背負うタイプ)はマチが12~15cmほど、幅が30~35cmほどが多いです。

身長160cmの例(上から見た図)

それでもなぜ濡れるのか?

体の大きさに合わせて傘をさしたとしても、よく濡れてしまいます。
なぜ濡れてしまうのか、できるだけ濡れないようにするにはどうしたらいいか、について考えてみました。

リュックが濡れない傘の差し方とマナーがとても大切!

背中に背負うタイプのカバン(ここではリュックとします)は、見えにくいため傘をさしていても濡れてしまうことがよくあります。リュックを濡らさないようにする3つのポイントがあります。

1.ワンサイズ大きめ
常にリュックを背負っている人は、先ほど出た体のサイズよりワンサイズ上の大きさの傘を使うようにしましょう。
2.傘の差し方のマナー
傘の中棒を体の中心近くになるように持つ、傘をなるべく低く持つことでリュックに雨がかかりにくくなります。
3.荷物が濡れない特殊な形の傘がある
普通の傘は中棒を中心に同じ長さの親骨がついていますが、一部分の親骨が長くなってリュック部分をガードする形状の傘があります。

雨に濡れにくくなる傘の持ち方を考察

また、傘の持ち方にも注意が必要で、危険な持ち方を避け、他人に迷惑をかけないマナーを守ることが求められます。

雨の降る角度と傘をさす角度の関係

雨の降る角度に応じて傘を差す角度を変えることで、濡れにくくなります。
風向きや雨の強さ、進行方向に合わせて傘を傾けることで、雨からより効果的に身を守ることができます。
歩行中に足元が濡れるのは、傘が高い位置にあるほど、雨が傘の端(露先)から足元に向かって落ちやすくなるためです。この現象は、物理的な観点からも説明が可能で、傘のカバー範囲が狭まることによるものです。以下でそのあたりの説明をしているサイトを紹介します。

「体格だけでない、歩く速度や傘の差し方によって濡れ方は変わってくる!
傘の防御できる範囲」

https://subsites.icu.ac.jp/people/okamura/education/ge/projects/2011_files/01_rain.files/rain-5.html
傘を差していて、身体が傘でカバーされているはずと思っていても、背中や脚が濡れてしまう事がある。
どうして濡れてしまうか、どうすれば濡れないのかを検証

結論・何故濡れてしまうのか
• つゆ先や傘の留め紐に集まった水滴が、傘の揺れによって傘の内側方向へ飛ぶ
• 傘を傾けると、斜め方向からの雨自体は防ぐことができるが、傘からの水滴は防ぎきれない

[記事を基に図を作成]

さらに歩き方については、

大股で歩くと傘のサイズから足元がはみ出して濡れてしまいます。
足裏全体で着地せず、かかとから着地してつま先をゆっくりつけるように歩きます。
内股やがに股、モデルウオークをすると水滴や泥が足につきやすくなります。

歩幅の目安
(大股の場合)身長×0.45、(普通の場合)身長×0.37

身長歩幅(普通の場合)
150cm56cm
160cm59cm
170cm63cm
180cm67cm
190cm70cm

傘の最適なサイズと持ち方、そして歩き方は、雨の日の快適性を大きく左右します。
傘をさす際は、傘を体の中心でまっすぐに持ち、傘のカバー範囲から出ないように意識することが大切です。また、ゆっくり小股で歩くことで、傘のカバーする範囲内に収まりやすくなります。これにより、雨に濡れることを最小限に抑えることができます。

傘の差し方の種類
ウエザーニュースより「傘の持ち方でこんなに変わる? 雨に濡れにくくなる賢い持ち方とは?」

https://weathernews.jp/s/topics/202207/070165/
ハイポジション(傘を頭より高い位置でさす方法、視界はよいが濡れる)とローポジション(頭が半分くらい隠れるくらい低く持つ方法、視界は悪くなるが濡れない)、
ノーマル持ちとクロス持ち(クロス持ちは「心臓を捧げよ」ポーズで持つ方法、傘下空間をバランスよく有効利用)を紹介

歩くときの傘の傾け方について、2つの計算の紹介
1.物理U数学の友 【質問・悩みに回答します】より「相対速度の考え方〜雨の中、傘をさして走る(歩く)時の最適な傘の角度〜」

動いていると雨の降る向きが変わってくるので考慮して傘をさす必要がある
https://nemurukameblog.com/2020/01/02/physics-girls/

    |v2|←雨の速度(25km/時  0.5mm以上の雨粒を想定)
tanθ=  ―
       |v1|←人の歩く速度(4km/時)

結論:本記事を基に計算すると、風がなく普通の速度で歩くときは、歩く方向に約9度傾けて傘をさすといいです。

2.新しいTERRAZINEより「歩くとき傘をどのくらい傾ければ雨に濡れないか計算してみよう」

https://terrazi.hateblo.jp/entry/20060630/p3
結論:歩く方向に15cm分、傘の縁が下がるように傾ければ濡れにくい。

※雨と風の関係で、実際の雨は様々な大きさ、速度、角度の雨粒が集まっていることを説明。

論文「建物におよぼす風雨の作用と関連する不具合 」

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jawe/42/3/42_227/_pdf/-char/ja
【一部抜粋・要約】風が強いほど雨足が傾きを強めることは当然だが,その傾斜度と風速の関係はどのようなものだろうか? 風の中の雨滴は,風速Uwと雨滴の落下速度Urの合成方向に落下する。空中を落下する雨滴は空気の抵抗を受けて下の方が扁平な形になる。この空気抵抗のため,どんな雨滴でも20mほど落下すると一定速度に達し,それ以降は等速で落下する。この速度は落下終速度と呼ばれるが,重力と空気抵抗のバランスから,落下終速度は大粒の雨滴ほど大きくなる。雨は雲の中で出来てから,地上まで降る間に合体や分裂を起こすため,一雨の中でも雨滴寸法は一様ではなく,様々な大きさの粒が混ざって雨を構成する。雨の強さによって中心となる雨滴寸法が異なり,雨の強さが増すほど大粒になることが分かる。すなわち,一雨の中に色々な大きさの粒があり,それぞれがまちまちな速度で落下していることになるため,wind driven rain(降雨の傾斜)は様々な傾斜角で斜めに落ちる雨滴の集まりということになる。

以上の点を踏まえると、傘を選ぶ際には、自分の体格に合ったサイズを選び、雨の日の歩き方や傘の持ち方にも注意を払うことが、雨の日を快適に過ごすための鍵となります。傘を正しく使用することで、雨の日も少ない濡れで安全かつ快適に過ごすことができるでしょう。

まとめ

傘で体を防ぐポイントとして以下が挙がりました。

・表を参考に体形に合った大きさの傘を持つ
・雨や風にもよるが9度傾けるもしくは15㎝程下がるようにして、体の中心に近いところで低めに持つ
・小股でゆっくりあるく
・雨のとき、傘をさしていても足元が濡れてしまう理由は、雨が地面に落ちたときの跳ね返り、歩いているときの足を挙げたときの跳ね、雨が斜めに降る、傘から落ちる雨だれがズボンにつくなど
・歩き方の工夫として、かかとから着地し、かかとにかかる衝撃を緩和させるように意識したうえで真っすぐな着地を心がける。これはつまり、正しい姿勢でのウォーキングそのもの。

傘の大きさ、持ち方、歩き方などの観点から考察してみました。これらに気をつけることで傘をさしても雨からなるべく濡れずに済むようになるはずです。
今度の雨からチャレンジしてみてください。
それでも、あまり雨の強い時は雨自体の跳ね返りがありますので足元は多分濡れるでしょう。