人類の傘使用に関しては、学術的にさかのぼることが出来るのは古代人の書いた絵などから想像が可能な3000年前程度のものとなっています。しかし同時にもっと古くから人類は傘を使用してきただろうと考えられてはいるわけです。
もちろん10000年前の古代人には鉄の鋳造技術も生地の機織り技術もない訳ですから、いわゆる現代風の傘を制作することは出来ていなかったと想像できます。
では何を使っていたと考えられているかと言うと、動物の毛皮を頭の上に差し掛ける使い方で雨を防いだと考えられています。ただし、これは雨具としては良いのですが、傘の先祖かと言われると疑問が残ります。これはどちらかと言うとレインコートの先祖ですよね。
では、雨傘の先祖として有力視されているものは何かというと、皆様のご想像通りの植物の葉だと考えられています。地域によりバナナの葉であったり蓮の葉であったりと種類はその植生に応じたものであったと考えられますが、茎から大きな葉が出ている植物、もしくは枝に大量の葉が付いたものを持って降雨による体温低下を少しでも減らしていたのだろうということです。
当然ですが、植物の傘はどうやっても保存ができるものではなく古代人がこれらの傘を使用した痕跡を見つけることは不可能です。ですから証拠が見つかることは今後もないと思われます。あくまでも消去法の結果、植物を使って雨を防いだだろうという推測であり、他の理由はないのです。
さて、あくまでもここまでの推測が正しかったとした場合、古代人の使う植物の傘は現代まで残らないどころか、そもそも数日から長くても数週間で使い物にならなくなったことは想像に難くありません。植物は状況によっては腐り分解されていくか、または枯れて砕けていきます。手に持つ軸と雨を受ける面が必要な傘の性質上、先に雨を受けるべき面が傷んでしまう事になったでしょう。
つまり原始における最初の傘は使い捨て傘だったという事です。
そんな原始人から進化したはずの現代人の我々は、未だに使い捨て傘を使用していたりします。
もしかしたら進化していないのは傘の方ではなく我々人類の方なのかもしれませんね。