傘と文化との関係

シティポップと傘  雨の日を彩る洗練されたサウンド

シティポップと傘

近年、シティポップが世界的にリバイバルしているというニュースを聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。
シティポップは、1970年代後半から1980年代にかけて日本で花開いた音楽ジャンルです。
このジャンルは、都会の喧騒を背景に洗練された都市生活の響きと、リゾートやレジャーなど豊かな消費社会へのあこがれと日常の逃避を求める心情を反映しています。
シティポップは、その滑らかなメロディと洗練されたアレンジで、都市の風景を音楽的に描写することに成功しました。

そして、この音楽はしばしば、都市の雨の情景と結びついています。
そしてシティポップと傘、一見無関係と思われるこの二つの要素は、実は密接な関係を持っています。

シティポップの特長


シティポップのサウンド面の特徴として、1970年代初期のウエストコーストロック(イーグルスやドゥービー・ブラザーズなど)やシンガーソングライター(ジャクソン・ブラウン、ジョニ・ミッチェル、リンダ・ロンシュタットなど)たちの爽やかなサウンドに加え、70年代中盤から80年代にかけてアメリカで流行したAOR(アダルト・オリエンテッド・ロック:ボズ・スキャッグス、ボビー・コールドウェル、スティーリー・ダン、クリストファー・クロスなど)やソウル(マービン・ゲイ、カーティス・メイフィールド、マイケル・ジャクソンなどたくさん)を中心としたジャンルをフューチャーしているところが特徴です。

演奏面の特長としては、高度な演奏技法が要求されるジャンルの特性から一部のトッププロミュージシャンが多くのシティポップ作品のバックを担当する状態になりました。逆にそのような制作背景がシティポップに種共通したサウンドとなっています。

メロディー面の特長は、歌謡曲のエッセンスも取り込みながらJAZZ、フュージョン、ディスコ、ボサノバなどのテーマも多く取り上げられ、60年代のアメリカンポップスがオマージュとして取り入れられる曲もよく見られました。

シティポップは、軽快で清涼感のあるサウンドに加えて、ドライブやリゾートなど消費社会を反映した都市的な歌詞によって若者のあこがれや好感度が高くなり、その結果として数多くのCMタイアップ曲が作られました。

シティポップと傘の関係


傘は、都市生活における必需品であり、雨の日の風物詩です。シティポップの曲において、傘はしばしばロマンチックな象徴として描かれます。雨音をバックにした楽曲は、リスナーに心地よい郷愁を誘います。
さらに傘は雨の日には欠かせないアイテムであり、都会の風景に溶け込むように存在しています。透明なビニール傘や、カラフルなストライプ柄の傘など、ファッションアイテムとして様々なデザインの傘が街を彩ります。
このように、シティポップと傘は、どちらも洗練された都会の風景を象徴するもので雨が降るロマンチックな都市の情景は、シティポップの曲において、孤独や切なさ、そして時には新たな出会いの予感を象徴することがあります。

例えば、竹内まりやの「プラスティック・ラブ」や大貫妙子の「4:00 A.M.」などの曲は、都市の夜にふさわしい雰囲気を持ち、雨の日の傘とともに、都市のロマンスを思い起こさせます。
これらの曲は、雨が降る夜の都市を歩く際のサウンドトラックとして、または雨音を聞きながら窓辺で過ごす時の伴奏として、多くの人々に愛されています。
雨音は、物憂げなイメージもある一方で、どこか心を落ち着かせてくれる効果もあります。
都会の喧騒の中でふと立ち止まり、心静かに過ごすひとときを演出する役割を果たしていると言えるでしょう。

このように、シティポップと傘は、洗練された都会の風景、ロマンティックな情景、そしてファッションアイテムとして、密接な関係を持っていました。雨の日を憂鬱なものと感じさせない、シティポップならではの文化と言えるでしょう。

傘や雨を題材にしたシティポップの曲


シティポップには、傘や雨を題材にした独特の雰囲気を持った名曲が数多く存在します。以下、いくつか例を挙げます。

曲名アーチスト名発表年
2000トンの雨山下達郎1978年
色彩都市大貫妙子1980年
RAINY DAY吉田美奈子1981年
EVENING RAIN杏里1983年
雨のケンネル通りEPO1983年
Rainy Day Woman松原みき1984年
Dancing in the rainカルロス・トシキ1984年
The Time Takes You Away (時は雨の彼方に…)JADOES1986年
雨降る東京古内東子1989年
雨にキッスの花束を今井美樹1990年
紫陽花のうた浜田省吾1991年

これらの曲は、いずれもシティポップならではの洗練されたサウンドと、雨や傘というモチーフを通じて、都市生活のロマンチックな一面を表現した印象的な作品です。
雨の日の特別な雰囲気を楽しむことができるでしょう。

まとめ


結局のところ、シティポップと傘は、都市の雨の日における独特のムードを作り出すために相互に関連しています。
傘が提供する一時的な避難所と、シティポップが奏でる心地よいメロディは、都市の雨の日における美学的な体験を形作ります。
このように、シティポップと傘は、都市の雨の日におけるロマンチックな逃避の象徴として、私たちの記憶に残るのです。

参考文献
みの著 にほんのうた 音曲と楽器と芸能にまつわる邦楽通史

雨音とリズムが交差する瞬間!洋楽で聴く傘をテーマにした名曲集


傘と音楽のマリアージュ!J-POPで聴く傘をテーマにした名曲集

雨と関連するロックを教えて!