傘雑話集

傘を持って踊る

傘を持って踊る

傘を持って踊る祭りは色々あるわけですが、幼少期から中学校ぐらいの年齢の時に傘を持って踊った経験のある方もいらっしゃるかと思います。

体育祭のために体育の授業でいろいろな集団での踊りを踊ることは一般的なわけですが、ただ体だけで踊るよりもタオルなどの布を持って踊ったり帽子を持って踊ったりという事がよくあります。これは、全体の見栄えのためだと思いますが、踊りを踊るときに人間の体の不均一さに比べて、道具の均一さが好まれるという事もポイントの一つだと考えられます。

もちろん日本に古くからある踊りとして花笠踊りのように棒のない笠の踊りも多くありますが、中棒のある傘の踊りもあります。例えばヤクルトスワローズの応援で東京音頭と共に傘が踊りの一部として用いられているように、棒があると高さと幅が出てくるため、踊りに立体的なダイナミックさが出しやすいです。そのため中棒のある傘を取り入れている踊りも多いのでしょう。

そして、中棒のある傘を使った踊りとして有効なのが、傘はくるくると回しやすいという事です。傘生地に回転を前提とした模様を書き込むことで、回った時に表情を変える独楽のような表現を付けることが可能であるので、この点も踊りを通して観客の目を楽しませやすいです。回転させると言えば、昭和の演芸であった傘回しなどが分かりやすい例ですね。

また、傘は開いたり閉じたりすることが出来るために、そもそもの色面積を変えることも可能であり、裏表もあるために変化をつけやすいという部分も特徴として挙げられます。
野球の応援で段ボールの表裏に別の色をつけてデジタル表示のように応援するシーンを思い浮かべていただければ、なんとなく伝わりますでしょうか?

以上のように傘はパフォーマンスと相性の良い道具だと思われますし、劇場などで取り入れられているケースも多い道具です。安心安全を守るための傘ではありますが、このような用途にも用いられているというのは面白い事ですよね。