洋傘は雑貨工業品です。
消費者庁のホームページにはそのように扱われています。
工業品ではありますが、実のところ安全基準に関する規則はそれほど難しいものではありません。ジャンプ傘について使用法をちゃんと明記することや、顔に近づけないよう注意書きを書くなどはありますが、自動車などのように何十もの安全基準をクリアするというものではありません。
そのためであるのか、金属パイプを伴う展開性のある器具であるにもかかわらず、傘の生産地は常に工賃の安い場所をめがけて移動し続けました。もちろんそれはどのような製品であっても、コストの下げられる場所に生産地が移動していくことは通常ではあるのですが、安全基準の厳しい製品はどうしても移動に伴うデメリットが多く、なかなか移動できないという事があります。これに対し、洋傘は生産拠点を常に変え続け、現在は中国での生産が99.9%ということになっています(組み立てではなく部材生産)。
そのようなわけですので、一見したところ他の国で生産された洋傘が店頭にはありますが、傘生地も、傘骨も傘手元もその他部品もほぼ生産地は中国です。それらを輸入関税の安い国に送って加工してその国から出荷しているため中国製ではないように見えますが、洋傘の中身はほぼ中国で作られているのが現状です。
ですから、もし中国が傘を売ってくれなくなると、日本に流通している傘はほとんどが手に入らなくなります。もちろん現実の問題としてそのような事態はなかなか起きません。売る側も買う側も生活がありますからよほどの事が起きない限り、両国間に多少の緊張状態があったとしても流通は止まらないと思われます。米国と中国のように。
また、もし、最悪の事態が発生し、洋傘の流通が止まったとしても、恐らく問題はありません。日本には年間一億本もの傘が輸入されており、流通在庫がふんだんにあります。また、半分以上は使い捨てビニール傘でありますから、使い捨てをやめるだけで恐らく何年も傘に困ることはないと考えられるからです。
もちろんこの想定では一般の日本人は困らないという話であり、傘の会社はとても困ることになるはずなのは言うまでもありませんが。