傘雑話集

傘の先端部分は

傘の先端部分は

環境から身を守るための傘は、基本的に守備のアイテムなのですが、皆さんがご存じのように鋭くとがった場所が2か所あり、その部分だけは少々攻撃的です。それは石突と露先です。
これらは先端恐怖症の方の悩みの種でもあり、本当であればない方が良いぐらいだと思われるものの、実際に必要だから存在するものでもあります。

百歩譲って露先はないタイプが売られてもいますから、色々と対応方法はある事が想像できるかと思うのですが、石突に関してはどうしてもなくすことが難しいです。
現状の長傘の使用方法ではどうしても全長が80cmから90cm程度は必要であり、日本人の一般腰高がそれ以上ではないことを考えますと、どうしても長傘を使用時に地面から傘を離しておくような状態維持がきびしいわけです。
そのために、傘生地を傷めることなく安心して傘を地面に着くことが出来る部品として、石突の存在を許容いただきたいというのが生産者の本音でしょう。

もちろん傘を正しく使えない可能性の高い子供用の長傘の石突については、とにかく丸く底面積が大きく設計されることが義務付けられている事からも分かるように、長傘の製造者も十分に気にかけている部分ではあるのです。嫌な部分だなとはみな感じてはいるものの、やはり現在時点では長傘の石突をなくすことは出来ていないというのが実態です。

実のところ進化しないと言われて久しい傘ではあるのですが、もしかしたら今後の傘の進化はこの石突の部分から起こるのかもしれません。必要は発明の母と言いますし、長傘の嫌な部分の一つとして改善されるべき部位でもあります。

いつか石突の攻撃的な感じを気にしなくて済む傘が出来る日が来ることを期待しましょう。そしてそれまでは、多くの人が用法、使用上の注意を守りつつ、お互いさまの精神で長傘を運用していくのが良さそうです。