傘を解析する

傘の専門用語を整理してみた。知ればもっと深くなる傘の世界

傘の専門用語を整理してみた

傘に限らず専門用語や業界用語の中には意味がよくわからないモノがあると思います。
業界の中の人にとっては普段使っているので当たり前に感じるのでしょうが、そうでない人からすると「?」となってしまうものです。逆に通ぶってわざと業界用語を使う人も見かけますね。
「傘」において分かりにくい言葉、似たようなことをさしている言葉、業界内の言葉、同じこと(モノ)に対して別の言い方をする言葉などをまとめてみました。

1.「ボタンを押して開く傘」をさす言葉

ジャンプ傘、ワンタッチ傘

手元近くにあるボタンを押すことで開く傘、長傘と折りたたみ傘の両方あります。

ダブルジャンプ

ボタンを押すことで開くだけでなく閉じることもできる傘、長傘はなく折りたたみ傘のみです。

いずれもバネが内蔵されている傘です。ボタンを押すと電動で開閉する傘もありますが、こちらはジャンプ傘やワンタッチ傘とは呼びません。

2.「折りたたみ傘」をさす言葉

構造上から分類した折りたたみ傘のタイプ

名称特徴ニーズ
折りたたみ傘(広義)長傘と異なり折りたたむ傘、折りたたみ方により様々な種類があります。ミニ傘も折りたたみ傘に含むことになります。

(狭義)折りたたみ傘のうちでも「二段折」の折りたたみ傘をさします。

長傘に比べて携帯性を強化した傘
二つ折り、二段折親骨が1か所折れる折りたたみ傘。折れる箇所が1カ所のみのため、長さは大きめで畳んだときの太さは細目になります。折りたたみ傘でも開いたときの形がきれいな傘
トップレス

簡単折り傘

傘を開閉するときに自動的に親骨が折れていく(ポキポキと手でおらなくてよい)、頂点部分(トップ)の親骨が無い(レス)構造

開閉するときに手間が少ない傘
三段折り

ミニ傘

親骨が2か所折れるタイプ。二段折と比べ長さは短く、太めに折りたたまれます。二段折と区別するため折りではなくミニと呼ぶ場合あります。携帯性の高いタイプの傘
クイックアーチ

クイックオープン

トップレスに、さらに一段折れる構造となっています。

閉じた状態のときに外側(雨に濡れた面)が内側になるため濡れない。

楽ミニ(簡単ミニ)よりは閉じたときに畳みにくい
楽ミニ傘

楽々ミニ傘

簡単ミニ傘

親骨が3か所折れる折りたたみ傘で、傘を開閉するときにろくろの上下に連動して親骨が開閉する(ポキポキと手でおらなくてよい)仕組み。コンパクトで開閉が楽な傘

ダブルジャンプ傘に使われている

軽量ミニ傘

ホック式ミニ傘

三〜五段折りの折りたたみ傘のこと。骨をポキポキ折って(ホック式)傘をたたむタイプ折りたたみ傘のなかで最もコンパクトになる
スライドショート、ショートスライド(折りたたみではないが)

中棒の長さが10cm程度変化(伸び縮み)する仕組みの傘

日傘などで持ち運びやすく簡易的に全長が短くなる傘

骨の構造をもとに上記のように分類しましたが、たたんだときの長さによって長めのものを折り傘、短めのものをミニ傘と呼ぶ場合があります。

開発の歴史的な経緯として
長傘から二段折りが開発され、次に軽量ミニ(ホック式ミニ)が開発されました。次に軽量ミニ(ホック式ミニ)のホック部分を無くしたトップレス(簡単折り)が開発され閉じる際にポキポキと折る必要が無くなりました。同時期くらいにクイックアーチ(クイックオープン)が開発され、たたんだときに濡れた面が内側になって濡れなくなりました。その後、クイックアーチの骨の構造を活用して簡単ミニ(楽ミニ、ミニ傘)が開発され、より畳みやすくなりました。

3.変わった骨の種類

さくら骨

傘を広げたときに内側に見える骨の形が桜の花のように見えるタイプの傘の骨

かぼちゃ傘

傘を広げるとすっぽりと納まるような深張りのタイプの傘。受け骨が比較的短いため深張りになります。

多間傘

多くの傘は親骨の数が8本を中心に軽量タイプは6本や4本などがあります。一方10本以上の親骨があり、和傘風なクラシカルなタイプの傘を多間傘と呼びます。親骨1本1本の間に挟まる生地1枚を1間(けん)と呼びます。骨が多いため風に強く丈夫になります。また開いたときの多角形の角が多くなり円に近くなるので面積が広くなります。一方骨が多くなると重くなりがちです。

4.複数の呼び方がある傘のパーツ

「ネーム」と「バンド」と「ネームバンド」、「ベルト」

傘を閉じて巻くときに留める細長い紐や布。ボタンやフック、マジックテープで止めます。
名前を書くのに都合がいいところから「ネーム」と名付けられた説があります。ネームには玉留めのない傘が玉留め代わりに閉じた露先をまとめる「口(くち)ネーム」があります。

ネーム(バンド)

口ネーム

「手元」と「ハンドル」と「柄(え)」と「取っ手」と「持ち手」

傘のパーツのうち、手で持つ部分で「手元」が業界ではよく使われます。木製、竹製、プラスチック製、金属製などいろいろな種類があります。形もJ型、I型、L型、その他動物の頭やドクロなどいろいろな種類があります。

「中棒」と「シャフト」

傘の骨のうち手元と石突をつなぐ中心にある棒で金属製、グラス・カーボンファイバー製、木製などの種類があります。

「房」と「タッセル」

手元についている組紐などで、装飾的なアクセントと滑り止めという目的があります。

まとめ

ここに挙げた言葉以外にも、当てはまる言葉があるかと思います。「この言葉って、なに?」というものがありましたら、ぜひお知らせください。傘全集に取り入れていきます。さらに、同じモノを指す言葉について一本化を進めていければ、業界以外の一般の方々も共通言語として活用できるようになるかと思います。
ご協力よろしくお願いします。