傘雑話集

なぜ傘生地は透明ビニールが全てにならないのか

なぜ傘生地は透明ビニールが全てにならないのか

傘は雨が降っているときに濡れる面積を少なくして歩行を補助する道具です。ですからできれば前が見えやすい方が良く、それゆえに視界確保を最優先するのであればビニール傘は大変便利なものです。実際、児童用の傘は多くがビニールによる視界確保を設計に含んで製造されており、その有効性は改めて解説するまでもないでしょう。

さて、そのようにメリットのある透明ビニール生地ではありますが、やはり大きなデメリットも存在します。それは何かと言いますとビニール生地は一般的な傘生地に比べ劣化が進行しやすいという事です。そしてそのデメリットはビニールの厚さによって色々と変わってきます。

まずビニールは経年で劣化する素材であるというデメリットがあります。とはいってもビニールで出来たパイプなどは30年から50年も使い続けられると言われ、この程度持つのであればすべての傘の生地は全てビニールになっていてもおかしくはありません。しかし前述したようにビニールの厚さによって経年劣化の年数は大きく変わってしまうものであり、ビニールパイプの厚みは3mmから5mmはありますからこれだけの年月耐久出来るわけです。

また、ビニールハウスに使用するような厚さ0.15mmの物でも耐久年数は5年となっています。こちらに関しては外で風雨にさらされ続けるという過酷な条件下ではありますが、ビニールが少々破れても使える前提の5年ですから破れは認められない傘としての使用であればそれほど長くもつ保証はありません。

ちなみに、傘に使用されるビニールの厚さは厚いものでも0.1mm、薄いものであれば0.05mm程度しかありません。そうなりますと、厚いものであればメンテナンス前提で3年から5年、薄いものに至っては1年ぐらいで劣化して白くなってしまうものも出てきます。
そうなってしまいますとビニールの透明である利点は損なわれてしまいます(もっともメンテナンスすれば5年もつなら素晴らしいとも言えるのですが)。

そしてもう一つ大きなデメリットとしては折り目が付きやすい素材であるという事です。
傘はその展開性と折たたみ性能からどうしても生地をたたむという行為が必要になるのですが、薄手のビニールはある位置で折ったとしても、それを伸ばして次に折る行為重ねるとどんどん折り目が増えてまるで傷のようになっていってしまいます。

逆にビニール生地を厚くすることで折り目がつかなくすることも可能であるのですが、今度は折グセが付きにくいために、折り畳み傘のような傘において、とても使いにくいものになりやすいのです。この点、普通の生地であれば何の問題もないという事から、やはりすべての傘がビニール傘になるという事はなかなか難しいのだと思われます。

最後にもう一つデメリットがあるとすれば、それは重さです。もし厚さが同じであるならば、化学繊維を編んで作られている傘生地に比べて、ビニール傘の生地が重いのは当然です。両方の素材がプラスチックであるのですから、中身が詰まっている以上どうしてもビニールの方が重くなってしまいます。そしてそれはわずかな差であっても、携帯という行為を重視する道具としてはどうしても看過できない事なのです。

ただ、人々がすごいのは、そこでどうしても重たくなってしまうビニール傘をコンビニに配置することで、持って歩かないで良くしてしまい、重さのデメリットを消したことです。これによってビニール傘と普通の傘生地の傘の両方がどちらもなくなったりはせずに共存しているというわけなのです。