傘を解析する

【傘のパーツ紹介】露先(つゆさき)について

 

傘は様々な素材の40~50ほどの部品数から作られています。素材としては木や竹などの自然物、鉄、アルミ、真鍮などの金属、ナイロンやポリエステル、グラスファイバーやカーボンファイバーなどの人工繊維、綿・麻・絹などの自然由来の生地、プラスチックなどの形成品、など幅広くあります。
そのようにさまざまある傘の部品の中でも小さなものの代表としては、傘の親骨の先にある露先(つゆさき)が挙げられます。
今回は、小さい中にもいろいろ奥深いものがある露先について紹介します。

傘のパーツ  露先はどこ?

※以下の図の左端に「露先」があります。

露先とは

露先(つゆさき)とは、雨露が骨に沿って落ちていく先端という意味で、生地と骨が結び付けられている箇所を指します。折りたたみ傘では生地が骨に直に付けられていますが、長傘では小さなパーツにまず傘生地を縫いとめ、それを骨先に差し込んでいます。一般的には、このパーツ自体を「露先(つゆさき)」と呼んでいます。使われる素材は亜鉛合金などの金属系やポリプロピレンなどの樹脂、木や竹などの自然物があります。

こちらは露先の見本帳です。これらから選んだ露先を取り付けて傘を製造していきます。

露先が取り付けられる工程

三角形に切りとられた傘生地を傘の形に縫い合わせていく作業を中縫いといいます。

中縫いが完成したものをカバーといいますが、これを傘の骨にかぶせてさしたときに頂上になる部分をかがっていきます。そのあとに露先を取り付ける作業である口とじが行われます。

露先のアップ

学童傘には基準があります

子ども向けの傘にはSG基準という一般財団法人製品安全協会が制定した安全基準制度があります。その中に露先について以下のような取り決めがされています。

趣旨としては、子どもが不用意に傘を扱って他の人に危害が加わらないように大人用に比べて大きい露先をつけるようになっています。

SG基準 学童傘より抜粋

露先に関連するパーツ

露先の端はだいたいが球状になっていますので、球(玉)を纏めるパーツを「玉留め(たまどめ)」と呼びます。玉留めは手元の底部に組み込まれています。玉留め付き傘は殆どが紳士傘で、婦人傘用では少数派です。これはデザイン面からバランス的に婦人用の細めのハンドルにつけるのが難しいことが理由です。

玉留めの他にも露先をまとめるものとして「口(くち)ネームバンド」があります。
どちらも傘を使って全くまとめないのは広がりすぎてまわりに迷惑だが、すぐに使うので完全に束ねるのはちょっと、というときなどに重宝するパーツです。

露先を無くしたら

もし露先を無くした場合、市販の修理キットもありますのでDIYで作業できますが、蝋びきした「とも色(同じ、もしくは同系統の色)」の糸が必要になります。また、おなじ形状のものでないと見た目に不揃いになります。その考えると専門店に修理をしてもらった方が、コストはかかりますが満足度の高い修理が可能です。

傘のデザインに合わせて目立たないようなタイプはもちろん、竹や木などの天然素材で作られていたり、金属製でピカピカに輝いている、などこだわりのパーツでもある露先ですが、人によってはその先端が気になる場合があると思います。
小さな子供には振り回したりしないように傘のマナーを教えてあげて、大人はまわりを意識して距離を保ちながらスマートに傘を取り回しましょう。
また、最近では形状と取付け個所を工夫して露先の出ていないタイプ、もしくは親骨の先端自体を工夫して露先のないタイプの傘もあります。

まとめ
露先は傘生地と骨を結びつける役目があり、親骨の先端を覆う役目や傘を広げて地面に置くときに生地が直につかないで済む役目もあります。そんな小さなパーツですがピリリと効いた露先にも一度注目してみてはいかがでしょうか。