傘を取り巻く環境

傘をゴミで出すときの正しい分別方法とは? 環境に配慮した傘の処分方法を知ろう!

 

日本人は世界の中で一番傘を持っているといわれており、ウェザーニュースの「傘調査2022」によると全国で一人平均4.2本持っているというデータがあります。
それらの傘を使っているうちには、当然壊れて使うことができなくなってしまう場面もあると思います。
壊れた傘をゴミとして出すときにどのように出せばいいか知っていますか?
意外に知らない人が多く、知らないまま間違って出すとゴミの回収業者が困ってしまいます。
この機会に、傘のゴミの出し方や処分方法がどのようになっているか確認してみましょう。

傘のリサイクルって可能なの?その方法を紹介!

傘・ビニール傘の処分方法
傘のゴミ分類は自治体によって異なります。
そのため、まずは自分が住んでいる市区町村のホームページを見て、傘が何ゴミに当たるのかを確認しましょう。
Googleなどの検索エンジンで「〇〇〇(自分が住んでいるところの自治体名)傘ゴミ」と検索すれば、すぐに目的のページが出てきます。
調べた結果、傘を素材ごとに分けてから捨てなければならない自治体の人は、面倒くささを感じるかもしれませんが、地球のためルールを守ってきちんと捨てるようにしましょう。

各自治体の傘分別例(2022年時点)

自治体名分別方法
大阪府大阪市普通ごみ 1m以内の大きさであること
京都府京都市家庭ごみ 1袋に2本まで
東京都中央区燃やさないごみ 透明・半透明の袋に入れる、またはふたつきの容器に入れて排出
千葉県千葉市不燃ごみ 不燃ごみ指定袋 何本でも排出でき、傘は袋からはみ出してもいいが、他に同時に排出する不燃ごみが袋からはみ出さないように入れて口を縛る必要がある
千葉県柏市不燃ごみ 傘を分解して排出する場合、生地部分は「可燃ごみ」・ビニール部分は「不燃ごみ」・骨部分は「資源品(金属類)」として排出
東京都中野区陶器・ガラス・金属ごみ ふたのできる容器、または中身の見える透明化半透明の袋に入れて排出
愛知県名古屋市不燃ごみ                 30cm角を超える場合も不燃ごみ
大阪府堺市不燃小物類 粗大ごみ受付センターへの申し込みが必要

1回の申し込みで4本まで無料

兵庫県神戸市燃えないごみ        多少先が袋から出ても構わないが、できるだけ袋の奥まで傘を入れて口をしっかり結ぶ
東京都品川区陶器・ガラス・金属ごみ    金属部分が多いため
東京都墨田区簡単に分解できる傘であれば、分解してから捨てる
神奈川県相模原市傘を分解してゴミ出しをする 手元がプラスチックの傘であっても、骨(芯の部分)が金属製であれば、骨の長さに関わらず「金物類」に該当、広がらないようにひもでまとめる

布・ビニールに関わらず外した傘布や50cm未満の傘は、「一般ごみ」に該当

傘の分解ができない場合や骨(芯の部分)が金属製以外で50cm以上のものは「粗大ごみ」に該当し、10本まで400円の手数料

神奈川県横浜市小さな金属類と燃やすごみ 骨(金属製)は週1回の「小さな金属類」(長さは問わない)、骨(金属以外)は週2回の「燃やすごみ」、生地部分は「燃やすごみ」
埼玉県川口市一般ごみと金属ごみ 骨(金属類)は月2回の金属類、生地部分は週2回の一般ごみ

傘の捨て方は大きく分けて3つある(不燃ごみ、粗大ごみ、分解して分別)

傘を処分する方法について、一般的な情報をまとめました。

・傘は自治体の指示に従って、不燃ごみまたは粗大ごみとして処分します。

・一般的には、傘をそのままの状態で「燃えないゴミ=不燃ゴミ」として出すことができます。不燃ゴミの日に傘をゴミ袋に入れてゴミ捨て場に出します。ただし、自治体によっては指定されたビニール袋に入れる必要がある場合もあるので、事前に確認しましょう。

・折り畳み傘は、大半の自治体で不燃ごみとして処分できます。

・一部の地域では、オールプラスチックのビニール傘は「燃えるゴミ」として捨てることができる場合もあります。燃えるゴミの日にゴミ袋に入れて処分します。

・傘の大きさによって処分方法が異なることがあります。一部の自治体では、30cm以上または50cm以上の傘を粗大ごみとして扱う場合もあります。大きさの基準は自治体により異なるので、自治体の指示に従いましょう。

・粗大ゴミを処分する際には、粗大ゴミ処理券を購入して傘に貼っておく必要があります。処理券がない場合は回収されないので、忘れずに準備しましょう。

以上が一般的な傘の処分方法に関する情報です。地域によってルールが異なる場合もあるので、自身の自治体の指示を確認して適切に処分しましょう。

分解して分別する方法

自治体によっては、傘を分解して素材ごとに分別してから捨てる必要があります。
傘の分解には便利な道具がありますので、以下に紹介します。

・傘は大まかに以下の3つに分類されます。
手元などのプラスチックパーツ、皮革、竹や木
骨などの金属類や、グラスファイバー、カーボンファイバー
ビニールまたは布の生地

・ビニールの傘生地は地域によってはプラスチックゴミとして扱われる場合がありますが、可燃ゴミとして捨てる地域もありますので、確認が必要です。布製の生地は一般的に可燃ゴミとして処分されます。

・一部の傘には、グラスファイバーと呼ばれるガラス繊維強化プラスチックが使用されているものもあります。グラスファイバーは見た目がプラスチックのような軽くて丈夫な素材ですが、分解時にケガをする可能性があります。細かく切断された部分が棘のようになり、刺さることがありますので注意が必要です。
分解する際には軍手を使用したり、安全面に配慮することをおすすめします。

以上が傘の分解と素材ごとの分別に関する情報です。自治体の指示に従って適切に処分しましょう。

傘の具体的な分解方法

傘を3つのパーツに分解する手順

傘を分解するためには、ハサミ、カッター、ペンチ、などの道具が必要です。以下の手順で傘を分解しましょう。
※傘を解体する際には、金属などの先端が手に刺さる可能性があるため、軍手などの滑り止め効果のある手袋を使用して手を保護しましょう。

先端を取る
骨組み先端部分(露先 つゆさき)を反時計回りにひねって、外します。
安い傘の場合は、露先は骨組みに差し込まれているだけなので、軽く引っ張るだけで簡単に取れます。手で外れない場合はペンチを使うか、どうしても外れない場合は次の工程にうつります。

生地部分を分ける
露先をすべて外した後は、傘の先端にある石突と呼ばれる金属やプラスチックのパーツを取り外します。
安価な傘では手で簡単に外せますが、外れない場合はペンチを使って石突を挟んで反時計回りに回しながら引っ張ります。これにより、傘の生地と骨組みが分離されます。

次に、傘生地と骨組みを繋ぎとめている部分をはさみやカッターで切っていきます。
ただし、ビニール傘の場合、しっかりと接着剤で固定されているものもあります。その場合は素手では解体できませんので、ペンチやニッパーなどの道具を使用する必要があります。
ニッパーは固定された露先を切断する際に使用します。切断する箇所は、露先から3~4cmほどの骨組みの部分です。
注意点として、露先のすぐそばの骨を切断すると、金属が露先の中に残り取り出せなくなる恐れがあるため注意が必要です。切断後はペンチを使って、露先に刺さっている金属を取り出しましょう。
さらに注意点として、グラスファイバーの骨は切断面がガラスのようなトゲになっているため、軍手をしていても刺さる可能性があります。安全に注意しながら作業を行いましょう。
以上が生地部分の分解手順です。安全に作業を行いましょう。

手元を外す
傘の生地と骨組みが分離できたら、残る作業はプラスチック製の傘の手元を外すことです。手元部分を引っ張るようにして外してみましょう。手元が外れたら分解完了です。手元の部分は、一部では素手で取り外せる場合もありますが、接着剤で固定されているタイプの場合はペンチを使用して外すようにしましょう。

傘を捨てる際には、骨組み部分は紐などでしばって広がらないようにしておくと、ゴミを回収する作業員の負担が軽減されます。
傘の分解が完了し、プラスチック、ビニール、骨組みに分けられたら、それぞれのゴミの日に捨てるだけです。

以上が傘の分解手順です。安全に作業を行い、適切にゴミの分別と処理を行いましょう。

粗大ごみに出す

上手に分解できればベストですが、どうしても分解できない場合は粗大ゴミとして出すのがおすすめです。

「不燃ゴミ」「燃えるゴミ」「ガラスや金属ゴミ」は、指定された日にそのまま捨てるか、指定された袋に入れて捨てれば簡単で費用もかかりません。
ただし、自治体によっては30cmまたは50cm以上のものは粗大ゴミとして処理する必要があります。
粗大ゴミの処理方法は自治体ごとに異なるため、所在地の自治体が指定する方法を確認してください。公式サイトで詳細が確認できますが、一般的な粗大ゴミの出し方は以下の通りです。

自治体の「粗大ゴミ受付センター」(名称は自治体によって異なります)に電話またはインターネットで申し込み、回収日を予約します。

必要な処分費用をカバーするための有料ゴミ処理券を指定の店舗で購入し、氏名や受付番号などの必要事項を書いておきます。

予約した回収日の朝8時までに、指定された場所に有料粗大ゴミ処理券を貼り付けた傘を置きます。

粗大ゴミ処理券を販売している店舗は、ほとんどの自治体でコンビニ、スーパー、地元の酒屋などが該当します。

インターネット申し込みは、自分の都合の良い時間に手続きができる便利な方法です。忙しくて電話で申し込む時間が取れない場合は、インターネットを活用しましょう。

なお、自治体によっては一度に出せる傘の本数が制限されている場合もありますので、事前に捨てる傘の本数を確認しておき、無駄な手間を省くようにしましょう。また、一部の自治体では資源回収ボックスやリサイクルセンターを設置している場合もあります。

以上が粗大ゴミの処理方法です。各自治体の指示に従って、適切にゴミを処理しましょう。

日本の傘の消費事情

日本では、傘の「使い捨て」が問題視されています。
財務省の貿易統計によると2022年の日本への傘の輸入本数は8022万本です。
国内の生産数はそれほど多くないため大雑把に言って年間8000万本超の傘が購入もしくは購入される予定として新たに国内に存在したことになります。

傘調査2022によるとビニール傘の保有本数は東京都が2.0本、全国平均でも1.6本とのことです。
同調査で傘全体の保有本数の全国平均が4.2本でしたので、持っている傘の半分近くがビニール傘と言えます。

このような保有状況の背景として、近年のごみ削減の動きに反して日本では大量の傘(特にビニール傘)が消費されている現状があります。
日本はビニール傘がコンビニなどで安価に手に入りやすく、傘を大切にする意識が全体的に低いと言えます。
警視庁が発表している令和3年度の遺失物取り扱い状況によると、傘の拾得届は250,670件なのに対し、遺失届は4,587件(拾得届の1.8%)です。
傘を失くしても届け出る必要がないと考えている人が多いと考えられます。
その原因として失くした傘が安価なビニール傘などで取り戻す思い入れがなく、届け出る手間や費用をかけたくないと考えているからでしょう。

ビニール傘には塩化ビニールが使われており、焼却処理をするとダイオキシンが発生することから、ビニール傘は埋め立てて捨てられています。
ほとんど全てのプラスチックは生物に分解されません。その理由は、天然の有機物とは異なり,合成ポリマー(高分子)であるプラスチックは安定な構造をもっており,驚くほど丈夫だからです。
そのため埋め立てて捨てられることで、地球に負担がかかっています。

レジ袋の有償化によるマイバック持参の動き、紙ストローの導入など「脱プラスチック」としてごみ削減の動きが推奨されている中で、日本では大量のビニール傘が消費されているのが現状です。
また、雨の日の店頭にあるビニールの傘袋もその場限りのものです。レジ袋やストローだけではなく、傘に対する環境への意識も必要になってきます。

不用品回収業者に依頼する

傘の処分に手間がかかる時には、不用品回収業者に依頼をするという方法があります。

自治体の中には、1回に捨てられる傘の本数に制限がありますが、不用品回収業者であれば本数に制限はありません。傘を分解する必要もないので手間をかけずに傘を処分することができます。

以下のいずれかに当てはまる方は、不用品回収業者に依頼することがおすすめです。

不用品回収業者がおすすめの方
・10本以上と大量の傘を捨てたい方
・引っ越しなどですぐに片づける必要がある方
・傘を分解できずに困っている方

傘だけではなく一緒に傘立ても回収できるので、傘以外にも処分したいものがあるなら、不用品回収業者に依頼をすると全てが片付いて玄関がすっきりします。

傘のリデュース:一つの傘で何年も使える方法とは?

傘の処分を減らす意識

ビニール傘の大量消費・処分には環境に負担がかかります。必要以上に傘を購入しないことなど、傘の処分を減らすための意識を高めることが必要です。
傘の処分を減らすための具体的な方法についてご紹介していきます。
最近では傘を寄付できる団体が増えたり、シェアリングビジネスが始まるなどゴミを増やさないための活動が増えてきています。

傘のシェアリングサービスを利用

傘を購入する回数を少なくすることが、傘の処分数を減らす第一歩です。
必要以上にビニール傘を買わずに済むために、傘のシェアリングサービスを利用する方法があります。

『アイカサ』と『レンタルアンブレラ』が傘のシェアリングサービスを提供しています。

『アイカサ』は近くにあるアイカサスポット(傘立て)から1日70円で傘を借りることができるサービスです。アイカサのサービスは、鉄道会社も導入しており、駅から出たら雨が降っていた、という場面で役立ちます。
借り方はアプリをダウンロードした後に、アプリにQRコードをスキャンもしくは暗証番号を入力して、傘立ての鍵を外すだけです。返す時は家の近くのアイカサスポットに返します。

『レンタルアンブレラ』は、無料で傘の貸し出しを行っているサービスです。
自動販売機の側面にレンタルBOXが設置されており、急な雨の時に活躍します。返す時は、同じレンタルBOXか近くにあるレンタルBOXに返却します。

この他にも、無料で傘を貸し出している駅があります。これらは電車に忘れた傘や地域から寄付された傘を有効活用しています。

1つの傘を長く使う

デザインや大きさなど心から気に入る傘を買いましょう。1本の傘を長く使うほど、傘を捨てる回数は少なくなります。
コンビニで売っているビニール傘はいつでも、どこでも手に入りますし、500円程度なので扱い方は自然と雑になってしまいます。
晴雨兼用など機能性に優れた傘、デザイン性のある傘であれば10,000円を超えることは珍しくありません。そのような傘はまわりからみても高級感が伝わってきます。
デパートで悩んだ末に購入した1本10,000円以上する傘であれば、傘への愛情が大きくなるので簡単に忘れてくることはできなくなります。たとえ、お店に忘れたとしても取りに戻るでしょう。
デザインがめずらしいものであれば、取り間違えや盗難被害にもあいにくくなり買い替える必要もなくなります。
自分にとってのお気に入りの1本を持つことは、なにより傘の処分本数削減につながります。

リユースのアイデア:傘を別の用途に活用してみよう!

捨てる以外の方法 Reuse(リユース)
捨てる以外にも不要な傘を手放す方法が2つあります。
傘を売る方法と、傘を寄付する方法です。
売れる傘の基準や金額、傘を寄付する手順についてお伝えします。

傘を売る

高級ブランドの傘であれば、売ることも一つの手放し方です。傘を売る方法として、リサイクルショップへの持ち込みやオークション、フリマアプリの利用があります。
リサイクルショップでは、傘を持っていくと査定してもらえます。その場で価値を評価してくれます。
フリマアプリでは、商品の写真撮影や説明から始まり、値段の設定や発送など、全て自分で行う必要があります。自宅にいながら取引ができるため、忙しい人には便利な方法です。
フリマアプリでは自分で価格を決めることができ、納得感のある取引ができます。また、取引のやり取りを楽しむこともできます。ブランド物や状態の良い傘ほど高く売れる傾向があります。
人気のあるブランドで状態の良い傘であれば、捨てるよりも売ることでお財布にもメリットがあります。

傘を寄付をする

もったいないと思うまだ使える傘を、捨てるのではなく誰かに使ってもらいたい場合は、傘を寄付することをおすすめします。
寄付することで社会貢献につながるため、捨てるだけでなく寄付する選択肢もあることを覚えておきましょう。
幸いなことに、傘や日用品の寄付を募っている組織や団体がいくつか存在しています。
その中でも国際社会支援推進会の「ワールドギフト」https://world--gift.com/は一つの選択肢です。彼らは不要になったさまざまな品を発展途上国の人々に送る活動を行っています。メールフォームから集荷の依頼をするだけで、希望の日時に宅配業者が傘を取りに来てくれるので、簡単に寄付ができます。
ワールドギフトではビニール傘や日傘、折りたたみ傘など、あらゆる種類の傘を寄付することができます。寄付の手順は以下の通りです。
① メールフォームで問い合わせて寄付の依頼。 ② 注意事項や確認メールに返信。 ③ 寄付金を振り込み手続きを完了。 ④ 希望の日時に自宅で傘を集荷。

また、先ほども紹介しましたが駅によっては無料の傘レンタルサービスをしているところもあります。レンタルされたまま傘が戻ってこないときに備えて、駅は傘の補充を定期的に行っているのでレンタルサービスを行っている駅に傘を寄付することができます。
突然の雨で困った時には地域の人たちで共有して傘を利用してもらうのもいいですね。

エコな生活スタイルの一環!傘の3Rを実践しよう


3Rとは
3R(スリーアール)は、ゴミ問題を解決するために環境と経済が両立した循環型社会を形成していくための3つの取組の頭文字をとったものです。
3Rは、リデュース、リユース、リサイクルの順番で取り組むことが求められています。
まずはゴミを出さないようにする(リデュース)、繰り返し使う(リユース)、ゴミの分別をして原料として再生する(リサイクル)、を傘についても意識して取り組んでいきましょう。