童謡にある「南の島のハメハメハ大王」。
その歌詞に出てくる「雨が降ったらお休みで」というフレーズをご存じでしょうか?
これはあくまでも想像でしかないのですが、恒温動物である人類は人類として成立する前から雨が体に当たり続けることを避けて暮らしてきたと考えられます。
進化論が正しかったとして、我々の祖先が水中にいたころ、そして上陸してからしばらくは大丈夫だったと考えられますが、恒温動物になって以降、ある一定温度以下になることは致命傷となってしまったために、外気温から身を守るようになったはずです。
もちろん熱帯気候下においては、ある程度の雨を体に受けたとしても体温はさほど低下しないわけですが、それ以外の気候条件の下では、人類は体に雨を受け続けることは出来なかったでしょう。それゆえに古代の壁画が洞窟にあったり、時代が進むにしたがって、人々は住居を屋根付きで作るようになったりしていったのだと思います。
ですから野外活動に関しては雨が降ったらお休みするしかない状況はあったわけですね。
ところが現代人とは違い昔の人々は1日中食料調達のために働かなくては生きていけなかったと考えられています。もちろん休息時間や睡眠時間はあったでしょうし、時間の使い方や食料品の貯蔵の工夫により狩りや採取をしない時間は作れたとは思いますが、何日もそれらを行わないわけにはいかなかったはずです。
つまり、雨が降っていたとしてもある一定割合では野外活動を行わなくてはならなかったと考えられるわけで、ここに雨具というものが誕生してきます。狩猟民族であれば、動物の皮を使用したフードとコートを、農耕民族であればわらなどを利用した蓑と笠をそれぞれ作り出していったわけなのですが、そこで生まれたものは傘ではありませんでした。なぜなら傘は片手をふさいでしまう道具であるため、野外労働時に使用するための道具として発明されるはずがないのです。
古代において傘を使えるのは労働をしなくて良い階級の人間だけであり、人類の歴史において、一般的な人々に傘が必要とされるのはごく最近の話です。現在の状況からは想像できないかもしれませんが、傘は本当にハイクラスの人々のための品物だったのです。