傘を解析する

傘の持つところ 「ハンドル」「柄」「手元」「グリップ」「持ち手」「取っ手」なんていう?

傘の手に持つ部分を何と言ってますか?
「ハンドル」、「柄(え)」、「手元」、「グリップ」、「持ち手」、「取っ手」などいろいろな呼び方があります。
それぞれの呼び方について、いろいろな角度から少し考えてみたいと思います。

それぞれの言葉の特長

傘の各部分を人間に例えたとき『ハンドル(手元)は顔、玉留は襟元、生地は衣服、石突は足元』といわれるそうです。
顔にあたる「ハンドル(手元)」について、その言葉一言だけで「傘の手に持つ部分」を指す言葉はありません。
例えば「ハンドル」は、手で何かを操作するという意味で車や自転車で使われることの方が多くあります。ただし自動車のハンドルは英語では「steering wheel(ステアリング・ホイール)」となります。

「柄」は「え」と読むだけでなく「がら」とも読むことができ、図柄や絵柄という柄(がら=デザイン)として生地の模様を指すことになります。そうすると傘にとっては、手元と生地の両方をさすので非常にわかりにくくなる可能性があります。

手元

「手元」についても「手で握るところ」という意味の他にも「手元に置く:手の届くあたり」や「手元が揺れる:手の動き」を指す場合があります。また箸のことを「お手元」と言うこともあります。

持ち手、取っ手

「持ち手」は「器具を持つためについている把手」という意味があります。「取っ手」は「手でつかんだりするために家具・器物などに取り付けたつまみ」という意味があります。どちらも手で持つところからきた言葉で、傘に限らず様々な道具に対して使われます。

英語が語源になっているハンドルとグリップは本来の意味から派生して使われています。

ハンドル(handle)

英単語としてhandleが用いられるのは「~を操作する、~を取り扱う、~を動かす、~を管理する」などの意味が多いです。もともとは文字に「hand」があるように「手で触れて扱う」といった意味の言葉です。傘のハンドルもそこからきているのではないでしょうか。

グリップ(grip)

意味としては、握る部分・握り方・物をとらえること。テニスラケットやゴルフクラブで使われます。「物を捉える」という意味で「タイヤがしっかりとグリップする」のように使われたり、「ビジネスで相手との意識や関係性を捉える」ときにも使われたりします。

Web上での違いは

Google関連キーワードによると、それぞれの言葉に関連して紐付けられている言葉は次のようでした。
時期によって変わると思いますが。

傘 ハンドル・・・交換、種類、ハンドル交換、ハンドルカバー、木

傘 柄・・・カバー、交換、柄の部分、ベタベタ、ビニール、おしゃれ

傘 手元・・・修理、ボタン、種類、交換、折れた、手元抜け

傘 グリップ・・・グリップカバー、100均、手作り、型紙、編み図

傘 持ち手・・・カバー、外し方、交換、ビニール、100均、交換自分で

傘 取っ手・・・カバー、ベタベタ、交換、取り外し、カバー作り、目印、名前

「ハンドル」、「柄」、「手元」は傘を取り扱っている業者側の修理や交換に関する発信、「グリップ」、「持ち手」、「取っ手」は傘関連グッズ取扱者による一般の方向けの発信、という要素を多く感じます。

業界内では

実際に販売者・製造者の業界内では「ハンドル」や「手元」と呼ぶことが多いそうです。
昭和18年発行の「洋傘起源と歴史」という書籍の中には「手元」が使われているので、洋傘が日本に入ってきて普及しだすころから業界内で「手元」という言葉が使われていたようです。
「ハンドル」は傘の手に持つ部分を英語ではhandleというところから海外と取引をする中で自然と業界内でも使われるようになったのではないでしょうか。

まとめ

いずれにしても一つ物を示すためにこれだけ多くの言葉があり、それぞれ別の言葉でも文章の前後から意味が通じるところは日本語の複雑さと面白さを表しているのではないでしょうか。
素材や形、色などから分類されるわけではなく「傘の手で持つ部分」を指してこれだけの種類があるのも不思議ですね。
これからあなたはどの言い方を使いますか?