傘を解析する

日傘活用の可能性 男性の日傘浸透度合いは?

2022年傘調査(https://weathernews.jp/s/topics/202206/020225/)によると、日傘の所有率は女性が8割、男性は1割でした。

昨今の猛暑により男性の日傘所有率は増加傾向にあるのではないかと考えられたため、いろいろな方面から検討してみました。

1.AIに聞いてみた

チャットGPTに男性の日傘利用が進む要因について聞いたところ、以下の回答がありました。

「日傘や傘の使用は、特定の性別に限定されません。日差しや雨から身を守るために、誰でも日傘を使うことができます。ただし、将来、男性が日傘をより一般的に使用するように促す可能性のある要因について質問している場合は、いくつかの可能性があります。

紫外線曝露の健康リスクに対する意識の高まり: 男性は、皮膚がんや早期老化など、長時間の日光曝露に関連する健康リスクをより意識するようになると、日傘を使用する可能性が高くなります.

ファッションとスタイルのトレンド: メンズファッションのトレンドが進化するにつれて、日傘はより多くの男性が自分の服装に取り入れることを選択するスタイリッシュで実用的なアクセサリーになる可能性があります.

気候変動と異常気象: 地球の気候が変化し続けているため、大雨や強い日差しなどの異常気象がより一般的になる可能性があります。男性は、風雨から身を守る実用的な方法として日傘に頼るかもしれません。

文化的変化: 一部の文化では、男性による日傘の使用はすでに一般的です.文化的な態度や規範が変化し続けるにつれて、世界の他の地域では日傘が男性の実用的なアクセサリーとしてより広く受け入れられるようになる可能性があります.

全体として、男性が将来日傘を使用するように促す可能性のある要因はさまざまで複雑です.日傘の使用に関連する態度や行動に大きな変化をもたらすには、社会的、文化的、環境的要因の組み合わせが必要になる可能性があります。」

そこでAIに挙げられた各要因に関連する調査がないか調べてみました。

2.意識変化・ファッションの面から

その要因として意識の変化が考えられます。
そこで男性の化粧や脱毛をする人が増え、美肌や紫外線対策などの意識が高まってきている、以前と比べ日焼けに対する意欲が変化している(日焼けをしたくない)という調査がありました。
メンズ美容定点調査(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000091.000056551.html)によると、スキンケアを行っている人の割合は20代で81.0%、10代で77.3%います。またメイクをしている人の割合は20代で24.0%、10代で22.5%です。

メンズリゼ「夏場の男性美容/紫外線・汗・臭いに関する調査」(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000071.000020081.html)によると、紫外線を気にする男性は64.3%で、うち紫外線対策をしている男性が53.1%。男性が日傘を使用することについて79.7%が肯定派であり、世代別では10代男性の89.6%が肯定派です。

クールビズなどビジネスウエアのカジュアル化、テレワークによる部屋着化(カジュアル化)による傘を持つことの抵抗感が低下しているのでは。
「日傘については、クールビズとの併用で暑熱ストレス(汗の量)を約20%減らすことができるとされています(環境省報道発表資料(平成23年7月19日)「ヒートアイランド現象に対する適応策の効果の試算結果について」)。」

スーツ姿に日傘をさすことのモデル提示の例が少ないことについて。
英国紳士風に長細身の晴雨兼用傘を持つことのアピールでビジネスマンに日傘の組み合わせを当たり前にするのはどうか。そもそもスーツ姿は暑苦しいが、着る必要がある人には日傘は必須と訴える。
帽子をかぶると髪型が崩れる、スーツにハットは有りだが、体全体を日光から遮ることができる日傘の方が暑さに対抗できる。

3.SDGs気候変動、気温上昇、環境問題、の面から

近年の猛暑により実際に通勤や通学時の体感温度が上昇している体験から必要性を実感しているのではないかと思われます。そこで気象庁による気温と真夏日の将来予測データ(https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/GWP/Vol9/pdf/02.pdf)を調べてみたところ、将来的に厳しい暑さはより強化されるとのことでした。

気温の将来予測では21世紀末には全国平均で年4.5℃前後上昇するとしています。また最高気温が30℃以上の日を真夏日といいますが、21世紀末には全国で約48.6日増えると予測されています。

4.国や地方自治体の対応

環境庁や都道府県、市町村のなかには熱中症対策として日傘の推奨しているところがあります。

環境庁 https://www.env.go.jp/press/106813.html
日傘の活用推進について~夏の熱ストレスに気をつけて!~

埼玉県 https://www.pref.saitama.lg.jp/a0502/higasa/higasa.html
「暑さ対策」としての日傘の普及啓発

九都県市首脳会議 環境問題対策委員会 http://www.tokenshi-kankyo.jp/heat/higasa.html
日傘の普及に向けた取り組み

環境省 四国環境パートナーシップオフィス(四国EPO)https://4epo.jp/information/notice/28776.html
香川県が、令和5年度「四国日傘利用促進キャンペーン」についてお知らせ

5.子どもの通学時日傘問題

子どものときから日傘を利用している人は大人になっても使用することに抵抗感がないのではないか、と考えられます。

「学校や自治体は対策に乗り出している。夏の暑さで有名な埼玉県熊谷市では、市立小中学校45校に傘をさして登下校するよう推奨している。日差しを防ぐとともに、ソーシャルディスタンスを保てる利点もあり、年内にも市内の全児童約9千人に日傘を配布する予定だという。ほかにも栃木県壬生町、愛知県豊田市が同様に日傘を勧める。」
https://www.asahi.com/articles/ASQ715DZ6Q6ZUTIL02M.html

研究「雨傘と日傘の体感温度および暑さ指数低減効果の相違」
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-21K02140/
子供達の安全を守るため、いくつかの小学校では「傘差し登校」が開始されたが、雨傘を使用している。雨傘の遮熱緩和効果を研究する。

6.日傘使用のマナーの発信

雨傘と違って日傘を使用する人は現時点では少数派のため、日傘を使っていない周りの人に配慮する必要があります。
例えば、狭い場所で使用するとき、すれ違うときなどで当たらないように距離を保つなど。雨のときはそこにいる人ほぼ全員が傘を使用しますが、日傘の場合は全員が使用するということはないので雨の時以上に周囲への配慮が必要になります。
また、ビジネス時に利用するときはあまり派手なデザインは使わないなどTPOに配慮することも大切です。

7.変化への抵抗、まとめ

日傘を使用することに理解を示しているが、実際に使用するまでには壁があることが考えられます。
心理学的には現状維持バイアスといわれるところです。
壁を乗り越えるためには、体験する機会を作り、メリットを実感してもらうことが効果的です。
体験会・無料配布(会社や健康保険組合などからプレゼント)、価値観の転換(日傘は女性のものという固定観念・ジェンダーバイアスの打破)などが考えられます。

一方、心理学的に集団作用(同調化)といわれるものがあります。
これは、使用者が一定割合を超えたところから影響を受けて使用者が急増することを指します。
通勤や通学、SNSなどに日傘を使用する男性を見かける機会が増加する、身近な人が使用を始める、ニュースなどの各種媒体で取り上げられるなど、をきっかけに使用する人が増えるのではないかと考えられます。

ここまで見てきたさまざまなデータから男性の日傘の利用率が今後上昇することは十分に可能性があり、すでにかなりのところまで来ているかもしれません。

日傘の効果について書いてある記事はこちら
「美肌を守る秘密!日傘の驚くべき効果とは?」
https://kasazenshu.acase.co.jp/umbrella/parasol/